昨日に引き続き、国語の考察を。
後半の感想は、
古文、難しくね?
と感じましたね。
こういう古文の読解などを、学校では普段からやっているのでしょうか?
どーも、塾講師歴17年、37歳3児のパパで認定心理士、上位公立高校受験・国公立大学受験専門塾、じゅくちょー阿部です。
大問3:古文『方丈記』より:鴨長明
古文で書かれた文章の横に、ルビとして現代文を部分的に訳した形式。
全文を現代文に訳してはないことで、難易度は高くなります。
そもそも、中学の光村の教科書には「方丈記」は掲載されていません。
仮に古文の対策を疎かにしていたならば、取れて3問くらいかなと感じます。
まずは、方丈記の抜粋部分の文章と、現代語訳を掲載しておきます。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
行く川の流れは絶えなくて、それでいて(そこにある水は)もとの水ではない。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
淀みに浮かぶあわは、一方では消え、一方ではまた出来て、長くとどまっている例はない。
世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。
この世にいる人間と住処とが、やはりこのようなものである。
たましきの都のうちに、棟(むね)を並べ、甍(いらか)を争へる、高き、卑しき、人のすまひは、世々経て尽きせぬものなれど、
美しく立派な都の中に、棟をならべ、いらかの高さを競っている身分の高い人や低い人の住まいは、何世代を経てもなくならないものであるが、
これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。
このことが真実であるかと調べてみると、昔からあった家はまれである。
あるいは去年(こぞ)焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。
あるものは去年消失して今年(新しく)作っている。あるものは大きな家が没落して小さな家となる。住んでいる人もこれと同じである。
所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。
場所も(同じ町で)変わらず、人の数も多いけれど、昔あったことのある人は、二、三十人の中で、わずかに一人二人である。
朝(あした)に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。
朝に(だれかが)死に、夕方には(だれかが)生まれる世の常は、ちょうど水の泡に似ていることだ。
(1)は、現代仮名遣いに直す問題。
「夕べに生るるならひ(ゆふべにうまるるならひ)」
ここが取れないなら、学校の授業にすら参加していないことになるでしょう。
(2)は、同意義抜き出し問題。
「うたかた」と同じ意味の言葉を古文中から探し抜き出すのですが!
そもそも、大学入試の古文単語帳にも掲載されていません。
「淀みに浮ぶうたかたは、(流れが止まった水面)…」
現代語訳から連想して考える問題なのでしょうが、これは反則気味では?
(3)は、理由抜き出し問題。
「昔ありし家は稀なり」
この理由となる部分を三十字以内で探し、初めの五文字を抜き出す問題。
現代語訳がある程度十分にあれば、何の問題もない普通の問題です。
訳が取れなければ、難しい部類に入ると思います。
(4)は、内容要約問題。
「住む人もこれに同じ」→「家も、そこに住む住人も( )点が同じ」
根拠として、どのような点が同じなのかを「考えて」十字以内で書く問題。
教科書や問題集などで、内容に触れているならまだしもです。
初見の古文の文章で、「考えて」書くのは荷が重すぎるような気がしますね。
(5)は、文法知識問題。
「ぞ〜ける」を用いた強調表現を何というかを答える。
ここは、できて当然の「係り結び(の法則)」で終了。
(6)は、古典知識問題。
『枕草子』の作者を漢字で答える問いが一つ目。
二つ目は、「世ははかない」という言葉を別の言葉に置き換える選択問題。
ア:先入観 イ:歴史観 ウ:価値観 エ:無常観
楽勝ですね?
と、ちょっと初見の古文を使った問題においては、難易度が高かったような気がしますね。
大問4:論説文『マンガの歴史』より:みなもと太郎
一般的な国語の読解長文の問題です。
安心感がありました。
しっかり読んで、根拠を見つけ出すという読解力が純粋に問われた問題だったように思います。
(1)は、段落考察問題。
第七段落が、三〜六段落の内容から考えて、どのような役割になっているかを問う問題。
ア:三〜六段落の内容と比較させて、反対の意見を述べている。
イ:三〜六段落の内容をまとめ、次の具体例に展開させている。
ウ:三〜六段落の内容に加えて、新たな問題点を指摘している。
エ:三〜六段落の内容の意見に、根拠となる事実を示している。
段落考察問題は比較的難易度が高いものが多いのですが、この問題は前後の段落にメリハリがあり、分かり易かったと思います。
(2)は、接続詞選択問題
( )に入る適切な接続詞を、問う問題。
ア:そして イ:たとえば ウ:ところで エ:あるいは
前の段落と、( )の語句の後とで、文脈がどうなっているかを判断すれば、何の難しさも感じない問題でした。
(3)は、文章挿入問題。
「そう考えると、もしかしたら日本で独自に発展した絵画形式かもしれません。」
「日本で独自に」、「発展した絵画形式」、これらのワードに相応しい内容が含まれている段落を探せばオッケーです。
(4)は、指示語指摘問題。
「それ」が何を指しているかを問う問題。
輸出される日本の磁器や陶器の( )葛飾北斎の絵。
( )に当てはまる語句を一五〜二十字以内で書くのですが、直前の文章を( )に収まるように少しだけ変えるだけの問題でした。
(5)は、内容要約問題。
書かれている文章の中から、適切な言葉を本文中から探し出し三字と四字で抜き出す問題。
特に難しもありませんでした。
(6)は、本格的な内容要約問題。
「日本のマンガの歴史は、有名な人たちだけで作られたのではない。長い時間( ① )ものや、海外に運ばれ( ② )技法が逆輸入されたものなど、無数の人たちが関わってできたものである。」
(①)は「発展」、(②)は「影響」という語句を用いて、十字以上十五字以内で答える問題。
(①)は普通、(②)は内容を噛み砕いたうえで、表現し直すことが求められており、難しかったです。
この問題は、良問だったように思います。
大問5:作文(朝日新聞の記事と、それを批評した3者のコラムが題材)
中日ドラゴンズの選手への応援歌で、「お前」という言葉を使っていることが問題になった時事問題です。
個人的には中日ドラゴンズのファンですので、朝日新聞の記事には憤慨したものですが(笑)
特段、いつもと変わらずの問題です。
ですが、学校によって作文の配点が異なります。
附属中は15点配点ですが、八万中学では20点配点です。
こういうことがあるから、模範解答用紙には配点記述がないのですね。
色々な生徒の解答用紙を見ると、記述の採点には公平さの微塵も感じられませんがね(笑)
ちゃん♪ちゃん♫
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