連比の求め方|つまずきの正体は『マスの大きさのちがい』【小6算数】
A:B=2:9、B:C=4:3。この2つの比は、同じBを「ちがう大きさのマス」で数えています。
A:B=2:9、B:C=4:3のとき、A:B:Cは? 小学6年生の「比」で出てくる、連比の問題です。
多くの子が、最初は「2:9:3」と書いてバツをもらいます。解き方を教わると、今度は手が動くようになります。ところが数か月たつと、「×4だったか、×9だったか」でまた止まってしまう。
結論から言うと、連比でつまずく原因の多くは、かけ算の手順ではなく、2つの比がちがう大きさのマスで数えられていることに気づけていない点にあります。3つの数を同じ大きさのマスで数えなおせば、A:B:Cはひとつにつながります。この記事では、その様子をテープ図7枚で解説します。
連比とは、どんな問題なのでしょうか
連比とは、A:B=2:9、B:C=4:3のように別々に与えられた2つの比を、A:B:C=8:36:27のようなひとつの比にまとめたものです。中学受験の算数はもちろん、中学からの数学でも、形を変えて何度も出てくる考え方です。
そして、解き方の説明はたいてい「共通のBを最小公倍数にそろえましょう」から始まります。この記事は、その一歩手前から始めます。そもそも比の数字とは何なのか、というところからです。
比は「同じ大きさのマスで数えた数」です
A:B=2:9というのは、同じ大きさのマスで数えると、Aは2マス、Bは9マスという意味です。マス1つの大きさは何でもかまいません。大事なのは、AとBを同じマスで数えていることです。
【図1】A:B=2:9をテープ図にすると

B:C=4:3も同じです。同じマスで数えると、Bは4マス、Cは3マス。
【図2】B:C=4:3をテープ図にすると

なぜ「2:9:3」と、そのまま並べてはいけないのでしょうか
2つの図のBをくらべてみます。同じBですから、テープの長さは同じです。ところが、上の図では9マス、下の図では4マスに分かれています。
【図3】同じ長さのBを、ちがうマスで数えている

つまり、1マスの大きさがちがうのです。A:Bの1マスは小さく、B:Cの1マスは大きい。
Aは小さいマスで数えた数、Cは大きいマスで数えた数。ものさしのちがう数字は、並べてもくらべられません。だから「2:9:3」は答えにならないのです。
解き方は、3つを「共通のマス」で数えなおすだけです
どちらの図でも使える、もっと小さいマスを作ります。9マスのBの1マスをさらに4つに切ると、9×4=36マス。4マスのBの1マスをさらに9つに切ると、4×9=36マス。どちらから切っても、同じ36マスになります。
【図4】どちらから切っても、同じ36マスになる

この36は、9と4の最小公倍数です。9のマスでも4のマスでもぴったり切れる数のうち、いちばん小さい数を選んでいます。
AとCも、同じ小さいマスで数えなおします。Aは、大きい1マスが2こ。その1マスは小さいマス4こ分ですから、2×4=8マスです。
【図5】Aは大きい1マス=小さい4マス

Cは、大きい1マスが3こ。その1マスは小さいマス9こ分ですから、3×9=27マスです。
【図6】Cは大きい1マス=小さい9マス

これで3つとも、同じ大きさのマスで数えられました。
【図7】ぜんぶ同じマスで数えたA・B・C

答えは、A:B:C=8:36:27。たしかめもできます。8:36は両方を4で割ると2:9に、36:27は両方を9で割ると4:3に、ちゃんと戻ります。
×4や×9は、暗号ではありません。「マスをそろえる」という意味を、式のことばで書いただけです。
計算だけで書くと、こうなります
| 手順 | すること | この問題では |
|---|---|---|
| 1 | 2つの比に共通する文字を見つける | B(9と4) |
| 2 | 共通する文字の2つの数の最小公倍数を求める | 9と4の最小公倍数=36 |
| 3 | 一方の比を、共通の数が36になるように両方にかける | 2:9の両方に×4で、8:36 |
| 4 | もう一方の比も、同じようにそろえる | 4:3の両方に×9で、36:27 |
| 5 | そろったところで、つなげる | A:B:C=8:36:27 |
図でやったことを、そのまま式に圧縮しただけです。手順の3と4で何をしているのか説明できれば、この表はもう暗記しなくてもよくなります。
今日、おうちでできる一つ
もしお子さんが連比を習っていたら、「どうして×4するの?」と一言たずねてみるのはいかがでしょうか。
「Bをそろえるため」「マスの大きさを合わせるため」という答えが返ってきたら、意味まで届いています。「そう習ったから」で止まったら、手順だけを覚えているサインです。
サインが見えても、責める必要はありません。この記事のテープ図を上から1枚ずつ、親子でたどってみてください。意味は、あとから追いつきます。
練習してみましょう
ヒントは、まず共通の文字を見つけて、その2つの数をそろえること。答えは、それぞれの問題を開くと見られます。
(1) A:B=3:4、B:C=6:5のとき、A:B:Cは?
Bは4と6。最小公倍数は12です。3:4の両方に×3で9:12、6:5の両方に×2で12:10。答えは 9:12:10 です。
(2) A:B=1:2、B:C=3:5のとき、A:B:Cは?
Bは2と3。最小公倍数は6です。1:2の両方に×3で3:6、3:5の両方に×2で6:10。答えは 3:6:10 です。
(3) A:B=5:6、B:C=9:2のとき、A:B:Cは?
Bは6と9。最小公倍数は18です。5:6の両方に×3で15:18、9:2の両方に×2で18:4。答えは 15:18:4 です。
この解説を、手順からではなく「マスの絵」から作った理由
この記事のテープ図は、算数の割合特訓用に作った自作教材から持ってきました。作るとき、ひとつ捨てた選択肢があります。
それは、「Bを最小公倍数にそろえて、両方に同じ数をかける」という手順を最初に教える、いちばん速い入り方です。手順から入ると、その日のうちに解けるようになります。そのかわり、時間がたつと「×4だったか、×9だったか」から崩れていきます。
だから、この教材は順番を逆にしました。まちがいの「2:9:3」を先に見せて、なぜいけないのかをマスの絵で確かめる。手順の式は、いちばん最後に置く。遠回りに見えますが、テストの本番で手順を忘れたときに絵に戻ってこられるのは、こちらの入り方です。
手順は忘れても、意味は残ります
連比にかぎらず、算数のつまずきの多くは、式は動くのに意味がつながっていないところで起きます。そして、式や問題文の意味を読み取る力は、国語の読解と地続きです。『つばさ』が全教科の学びの土台に読解を置いているのは、そのためです。考え方の全体は つばさ式読解メソッドとは? にまとめています。
解き方を忘れたとき、絵に戻れる子は立て直せます。意味から入る道は、遠回りに見えて近道です。
文章題のつまずきが「読み取り」から来ていないか気になる方には、無料の読解チェックをご用意しています。
よくあるご質問
最小公倍数がすぐに見つからないときは、どうすればいいですか
大きいほうの数を2倍、3倍と増やしていき、もう一方の数で割り切れたところが最小公倍数です。見つからないときは、2つの数をそのままかけた数(9×4=36のような形)でそろえて、最後に比を簡単にする方法でも、答えは同じになります。
A:BとA:Cが分かっているときも、同じ解き方ですか
同じです。共通の文字がBからAに変わるだけで、Aの2つの数を最小公倍数にそろえれば、B:Cが読み取れます。「共通の文字のマスをそろえる」という考え方は、どの組み合わせでも変わりません。
答えの8:36:27は、もっと簡単にできませんか
できません。比を簡単にするには、3つの数すべてを同じ数で割る必要があります。8と36は4で割れますが、27は4で割れません。3つ全部を割り切れる数は1しかないので、8:36:27がいちばん簡単な形です。
この記事を読んだ保護者の方へ
徳島国語英語専門塾つばさは、徳島市で小学生(小4~小6)から「読解力」を育て、基礎学力テスト・上位公立高校受験を経て、大学受験まで一貫指導する専門塾です。
