全体的に言えば、「ひねった問題」が多い印象です。
思考力問題に相応しい、問題と言えばそれまでですが。
それにしても、今年の理科の策問者は、
中学生受験生たちに高校生になるには
「これぐらいのことはできて中学卒業だぞ」
という意図をぶつけているような気がしているのは
私だけでしょうか?(笑)
断言できることは、理科という教科は
もう暗記だけでできる時代は終わった!
ということでしょうかね。
どーも、塾講師歴17年、38歳3児のパパで認定心理士、上位公立高校受験・国公立大学受験専門塾、じゅくちょー阿部です。
- 本年度の入塾生は、満席となりました。
- 来年度の春期講習会からのご入塾のご予約は10名(仮)の予定です。
- 日曜セミナー『国公立大学:二次対策化学・物理・生物』は、10月4日(日)から全8回で開講します。
大問1<生物>:植物の体のつくり(ホウセンカ)
見事に予想は的中。
植物の体のつくりと光合成を絡めたなかなかの良問です。
簡単過ぎず、少しだけの思考力を必要とする問題でした。
(1)は、ホウセンカの根の作りに関する問題
太い根(主根)から枝分かれしている細い根を何というか?というとい。
もちろん、答えは「側根」です。
「根毛」と答えてしまった人は、要復習ですよ!
(2)は、維管束の形状から植物の種類を類推する問題。
きれいに輪状に並んでいる維管束。
セットで覚えておくべきは、5つ。
主根と側根+網状脈+維管束輪状+双子葉類+(合弁or離弁花類)
どれを聞かれても、以上のセットが思い浮かぶようにしておきましょう。
答えは、「イ」の双子葉類ですね。
(3)は、根から吸い上げた赤色の水の通り道の場所(道管の位置)。
輪状の維管束では、道管は「内側」。
そして、忘れてはならないのが、茎の中では維管束と言いますが、葉の中では維管束は「葉脈」と呼ばれます。
加えて、葉の断面図から見れば、その葉脈の中の道管の位置は「上半分」の位置。
答えは、「ア」と「オ」となります。
(4)は、「根から吸収した水を葉まで運ぶのは何のためか」という問題。
原理を問う良問です。
かつ、「葉の細胞の中の葉緑体の働き」と「水の使われ方」に着目して答えるとの条件があります。
「葉にある葉緑体で、光合成をするために用いられるため」でOKでしょう。
生物の分野のなかで、中1植物は最も簡単な単元です。
ですが、このような問われ方をすれば
「えっ!?」と思う人もいるでしょう。
「覚えていればいい」という安易な対策をしている者が足元をすくわれます。
暗記科目という誤った呪いの言葉を、自分の中から捨て去りましょう。
大問2<生物>:だ液の消化
これも予想的中です。
だ液にデンプンのりを入れて、消化の反応をみる実験です。
これも最近の流行りの「対話式」の問題です。
会話を通して実験結果を深めていくことで、
生徒たちの思考力を試す良問でした。
(1)は、沸騰石を試験管加熱の際に用いる理由を問う問題。
早速記述問題です。
ですが、この問題に関しては楽勝だったでしょうか。
「急な沸騰を防ぐため」で大丈夫でしょう。
(2)は、対話に相応しい語句を選択する問題です。
令子:試験管AとCを比べるとヒトのだ液のはたらきにより( a )ことがわかり、試験管BとDを比べるとヒトのだ液のはたらきにより( b )ことがわかりました。
試験管Aは、だ液とデンプンのりにヨウ素溶液を入れたもの。
試験管Cは、水とデンプンのりにヨウ素溶液を入れたもの。
この2つを比べるということは、ポイントはヨウ素溶液です。
ヨウ素溶液は、デンプンの有無を確かめる指示薬です。
ということは、( a )は「デンプンの有無」が答えとなります。
次に、試験管BとDです。
試験管Bは、だ液とデンプンのりにベネジクト溶液を入れたもの。
試験管Cは、水とデンプンのりにベネジクト溶液を入れたもの。
ベネジクト溶液は、糖の有無を確かめる指示薬です。
ということは、( b )は「糖の有無」が答えとなります。
このように、思考力問題は、書かれていることから一歩踏み込んで「ということは、どうなるのか?」を考えせるようになっています。
見た瞬間に答えとなるような「暗記系」の知識では対応できないのです。
(3)は、対話に相応しい語句を記述する問題です。
令子:ヒトの唾液は、( a )はたらきをすると考えられます。
(どんな)はたらきをするのか、実験を通して分かることを考える問題です。
(2)の問題を通して考えるならば、「デンプンを塔に変える」でOKですね。
(4)も、対話に相応しい語句を記述する問題です。
ですが、かなりの新傾向で、この実験を通して「どんな疑問が浮かんだか」を考えて書くという問題です。
保護者が高校受験をしていた時代の問題では、見たことも聞いたこともないような問題だと思います。
和夫:でも、ヒトのだ液が( d )という可能性も否定できませんね。
先生:なるほど。では、その疑問を解決するにはどのような実験をすればよいですか。
和夫:水でうすめたヒトのだ液だけを入れた試験管を用意し、それを38℃の湯の中に10分入れた後、少量のベネジクト溶液と沸騰石を加えて加熱する実験をします。そして、その結果と試験管Bを比べることで解決できると思います。
疑問を解消するための実験方法から、疑問点を浮かび上がらせます。
だ液だけを温め、ベネジクト溶液を加えていることを考えると、糖ができたかどうかを確かめる意図だと分かります。
ということは、だ液が「糖に変わった」という仮説ですね。
(5)は、単純な語句知識の問題。
『食物やその栄養分は体内に吸収されやすい形や大きさに変化していく。この一連の流れをなんというか?』
もちろん、「消化」です。
ですが、こういう聞かれ方をすると答えられなかったという生徒もいるかもしれませんね。
単元としては簡単とされる「生物」分野。
ですが、このような新傾向の思考力を使って考えさせる問題となると、生物の方が膨大な知識と深い知識が求められる場合もあります。
楽に成績を伸ばすことができない単元となってしまいました。
第二回の基礎学の「生物」予想!?
第二回の範囲は、中3生物の「遺伝」まで含まれます。
となれば、まず対策すべきは中3の生物範囲。
生殖から遺伝まで全ての範囲の対策を講じましょう!
そして、中1生物か中2生物が出題されるわけですが、
中1から出題されるならば、「微生物・植物の分類」となるでしょうか。
「蒸散」も可能性はありますが、茎と葉の作りを出しているので考えづらいかと。
中2生物は、消化が出題されたことを考えると
「神経系・体の臓器のつくり・血流・動物の分類・進化」と
まだまだ広範囲で分野が残っています。
この辺りがあり得そうですね!
こりゃ大変だ、今日はここまでにしておきましょう(笑)
ちゃん♪ちゃん♫
2020年度『つばさ』の授業日程は、ここからご確認できます。