昨日に引き続き、
令和4年度第一回基礎学力テストの国語、
小説の長文問題である大問2の続きの分析を行います。
細切れになってしまい申し訳ありません。
大学入試の指導に大忙しです。
基礎学を解くだけでも時間の捻出が大変です!
大問2:小説『ソノリティ はじまりのうた』より:佐藤いつ子
ではまず、長文の冒頭の前提文を前回同様示しておきます。
夢中に慣れるものがない山東涼万は、しぶしぶ合唱コンクールの朝練に参加することにした。朝練の教室には、クラスから距離を置く天才ピアニストの井川音心、指揮者を押し付けられた水野早紀、歌に自信のない金田晴美(キンタ)たちが集合していた。
(3)は、傍線部の指示語の内容を本文から書き抜く問題。
傍線部①「ああいうこと」とは、どのようなことだと涼万は捉えているか。「こと」に続くように本文中から十六字で探し、抜き出して書きなさい。
質問としては「ああいうこと」=「どんなこと?」を問うている訳ではありません。
ここがポイントです。
「どんなこと」だと「涼万」がとらえているか、を問われています。
傍線部の直前では、晴美さんがクラスの皆んなに、合唱コンクール優勝に向かって右こぶしを掲げて鼓舞している描写があります。
「ああいうこと」=「どういうこと」、と捉えてしまうと上記の付近から16文字を引っ張ってきてしまうのでしょう。
設問はあくまで『涼万が上記のことをどうとられているか』です。
傍線部から8行後ろのここが答えですね。
18行目:「クラスをぐいぐい仕切ってしまえる」こと。
とにかく、本文に飛びつく前に設問を徹底的に読み込む!
何を答えなければならないかを明確にする!
そして、本文内でそれに合致する言葉だけを探すのです!
(4)は、傍線部の理由を一文で探し、初めの五文字を抜き出す問題。
「なんで俺は、合唱コンの朝練にきたんだ?」
の答えに涼万が気づいた一文を本文中から探し、初めの五文字を抜き出しなさい。
この問題も少しだけ工夫がみられます。
「なんで〜?」の答えに『涼万』が気づいたことを書き抜くわけです。
ということは、「〜だから、俺は合唱コンの朝練にきたんだ!」
となるような文章を探すだけでOKです。
14行目から離れた部分に答えは見つかります。
48行目:「そのために、俺、来たんだ。」これを見つければ簡単ですね。
48行目:「水野のために、歌わなきゃ。」でいいでしょう。
口を酸っぱくして言いますが、
とにかく国語において最も大事なことは、
『設問に正しく答える』ことです!
設問に対して、何を答えなければならないかを明確にする。
話はそれからです!
(5)も、傍線部の内容を一文で探し、初めの八文字を抜き出す問題。
「俺のせいで合唱がめちゃくちゃになりませんように。」
という気持ちとは裏腹に、失敗してしまった涼万の歌声を比喩をより効果的に使って表している一文を本文中から探し、初めの八文字を抜き出して書きなさい。
この問題も面白いですね。
今回の基礎学の国語の設問は、フックが効いています。
「俺のせいで〜めちゃくちゃに…。」の気持ちと裏腹に、
ということは逆のことが起ってしまった『歌声の描写』を
本文中から探さなければなりません。
めちゃくちゃになってしまうような歌声。
少なくとも、自分は経験したくないですが予想はできます。
おそらく、「音程・歌詞・歌うタイミングをミスする」
などでしょう。
しかも、比喩表現です。
54行目からが、歌声を出した描写が書かれます。
よってその後ろですね。
たくさんの心情表現や比喩表現が書かれていますが、
「歌声の比喩」に集中です。
60行目:「メロディーラインを逸脱した「な」は、派手にイレギュラーして明後日の方向にバウンドし、続く「がら」を蹴飛ばしていった。」でいいでしょう。
何度でも言います!
とにかく国語において最も大事なことは、
『設問に正しく答える』!
設問に対して、何を答えなければならないかを明確にする。
それさえできれば、あとは本文中から探すだけでいいのです。
(6)は、文章挿入問題。
本文中の( Ⅰ )( Ⅱ )( Ⅲ )に当てはまる「早紀」の指揮についての描写を、次のア〜ウからそれぞれ一つずつ選び、記号で書きなさい。
ア:早紀は必死に指揮棒を振った
イ:早紀の指揮棒はティンカーベルの魔法の杖みたいだ
ウ:先の状態はなめられらかに優雅に揺れる
挿入する( )の前後にヒントがあるわけです。
まず、アの選択肢はどちらかというとマイナスの表現。
イとウは、プラスでなおかつ独特な表現です。
イとウがどちらに入るかの根拠を文章中から探せばいいわけです。
( Ⅰ )は、41行目の「なめらかさが消えた」という言葉。
答えは、「ウ」ですね。
( Ⅱ )は、前後が明らかにマイナスの内容です。
答えは、「ア」ですね。
( Ⅲ )は、84行目の「そこから放たれる不思議な力で、…」という言葉が根拠です。
答えは、「イ」ですね。
(7)は、対話文形式の内容を本文から抜き出す問題。
傍線部「初めて合唱らしい合唱になったきた」ことについて、松田さんたちは次のように話し合った。( A )( B )に当てはまる言葉を書きなさい。ただし、( A )は本文中の言葉を使って二十五文字以上三十文字以内で書きなさい。( B )は本文中の言葉を使って四字で書きなさい。( C )は本文中から十字で探し、抜き出して書きなさい。
松田 : 「合唱らしい合唱」になる前は、どのような合唱だったのだろう。
竹原 : 男性パートは十数人いるにもかかわらず、( A )状態だったね。
細川 : 「早紀の指揮棒からなめらかさが消えた」のように、早紀の気持ちが指揮の様子に表れている場面が多いけれど、「合唱らしい合唱になってきた」場面では、早紀の表情に表れているよね。
松田:早紀の( B )だね。凉万は合唱が変化してきたことに、新鮮な感覚を感じていたね。
竹原 :みんなの声が調和している様子は( C )だと表現されているね。
( A )の前の言葉にヒントがあります。
「男性パートは十数人いるにもかかわらず…」ということは、
「迫力がない・声量がない」などのマイナスの表現が予想できます。
45行目:「ぼそぼそとした辛気臭い歌声が、床にはうように広がった」でいいでしょう。
( B )も同様に、「合唱らしい合唱になってきた」ということは、
「いい表情系」のプラスの表現を探せばいいわけです。
79行目:「目の輝き」です。
かなりさまざまな行間を飛び交う問題ですね。
( C )も同じく、「みんなの声が調和している様子」ということは、
これもプラスの表現を探すだけでオッケーですね。
80行目:「一本の帯のような流れ」で完璧です。
小説は明らかに簡単!?
ところどころ、工夫していることは感じられます。
しかし、設問を徹底的に精読し解釈しておけば、
何を本文中から探すかは一目瞭然です。
とにもかくにも、
問われていることに正確に答えること。
そのために、設問をこれでもかというほど
解釈しておくこと。
国語読解の極意は、ここにあります。
とりあえず、半分ほど分析が終わりました。
まだまだ続くなぁ。。。
ちゃん♪ちゃん♫
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