本日は、
お茶の水大学名誉教授の内田信子教授の論文
学力格差は幼児期から始まるか？
―経済格差を超える要因の検討―
の内容をご紹介しようと思います。
さて、学力格差の要因は
経済格差からなのでしょうか？
学力差の本当の要因は！？
学力差を生む、経済格差を超える本当の要因とは何なのか。
この論文では、このことに関しての調査研究をしています。
まず、高所得のご家庭でありがちな特徴が、
子どもの学力を高めているのではないだろうか？
次に、低所得のご家庭でありがちな特徴が、
子どもの学力を低くしているののではないだろうか？
そのような問題提起を深掘りしている、
非常に興味深い論文となっていました。
判明したこととして、ご家庭における
以下の３つのしつけが学力差を生むとのことです。
- 共有型のしつけ
- 強制型のしつけ
- 自己犠牲型のしつけ
では、一つ一つを細かく説明してみることにしましょう。
「共有型のしつけ」とは！？
中野氏は、「共有型のしつけ」を
「子どもを一人の人格を持った存在として尊重して、
子どもとの触れ合いや会話を大事にし
楽しい経験を子どもと共有しようとするしつけ」
と定義しています。
このような家庭環境を意識して作ろうとしている保護者は、
「家族団欒や親子の会話、夫婦間の会話」
を重要視し、穏やかに相手の意見を聞くという習慣があります。
このしつけをしているご家庭では、
所得の高低に関わらず、
自宅に書籍の数が豊富にあり
乳幼児期からの本の読み聞かせや
保護者自身が読書好きである傾向が強く表れています。
結果的に、その家庭の子供たちは
「読み書きやリテラシーや語彙力も豊富」
と調査報告が挙げられています。
「強制型のしつけ」とは！？
中野氏は、「強制型のしつけ」を
「子どもを自分の理想通りに育てようとし、
思い通りにならないことには懲罰を辞さず
指示・命令・管理・調教的なしつけ」
と定義しています。
興味深いことに「強制型のしつけ」は、
高所得・低所得のご家庭共に多くみられた点です。
そしてさらに、このしつけスタイルにおいては
「高所得のご家庭の子どもの語彙力の低下」
という負の相関関係が見られました。
考えられる原因として、高所得だからこそ
週のほとんどを習い事に通わすことで
ご家庭での会話で巡り合う語彙が少なくなる点です。
かつ、習い事先でも「強制型のしつけ」的な指導がなされ
より一層の自発性が萎縮していることも考えられます。
結果的に、
「学習の土台となる語彙の乏しさを生む家庭環境」
と調査報告となっています。
「自己犠牲型のしつけ」とは！？
中野氏は、「自己犠牲型のしつけ」を
「保護者自身が育児における責任感・焦燥感が強く、
子どもとの触れ合いや会話を苦しく感じ
それでも自己犠牲的に関わろうとするしつけ」
と定義しています。
このような家庭環境を意識して作ろうとしている保護者は、
「ギブアンドテイク」を重要視。
自分だけが頑張って孤軍奮闘し
生活は子ども中心で自分の生活はないと感じています。
そのため、見返りを強く欲しています。
このしつけをしているご家庭では、
育児における報酬が何よりも大事になり、
子ども本人の意思や考えをないがしろにします。
高所得家庭では、育児書なセミナーに没入し
逆に育児不安や無気力から育児放棄につながる事例も。
低所得家庭では、子どもが原因で生活が不安定なのだと、
責任転嫁からネグレクトに発展する場合もあるようです。
結果的に、
「学習に向かうための精神が不安定となる」
ということに。
学力差の本当の要因は！？
これらのことから、
学力差の本当の要因は経済格差ではなく
「保護者か子どもに育児に対して、
どのような関わり方をしているか」
ということが原因であることが判明しました。
某大手の塾の調査結果においても、
最難関中学・高校・大学への合格者は
そのほとんどが「共有型のしつけ」家庭の
子どもだったともセミナーで聞いたことがあります。
このような実態を聞いてしまうと、
塾にできることは幼児からの子どものみならず
育児支援という名目の保護者への教育・啓蒙に
なってくるのかもしれませんね。
幼児教育部門の設立も、待ったなしになってきました！
ちゃん♪ちゃん♫
学校
