読解のポイントは以下の3つ。
- 設問で「何が問われているのか」「どのように答えなければならないか」正しく把握する
- 傍線部の文章の中の「あるとないとでは意味が変わる語句」を別の表現に言い換え解釈する
- 選択肢を細かく区切り、本文と照らし合わせて根拠をもとに誤りを判断する
今回は最後となる、3つめのポイントについて説明することにしましょう!
選択肢どうやって作られる?
今回も小学生の中学受験用の国語読解の設問文を例にしてみましょう。
問題文は前回の「読解問題を解くための3つの鉄則 (2)」に、
今回はその問題の選択肢だけをピックアップしてみます。
ア:土の上に落ちたものを食べるのはいやだったが、啓吉の触れたものだと気がついて受け取る気になった。
イ:人の食べかけをたべるのはあまり気が進まないが母の親切を裏切るのは悪いと思い直した。
ウ:あまり好きではないざくろだが、これから出征する啓吉の無事を食べながら祈ろうと思った。
エ:啓吉の食べかけを母の前で食べるのは恥ずかしかったが、食べないと余計に変に思われるのでとまどった。
さて、国語の設問は、
本文に書かれているそのままの言葉を使って
選択肢を作るわけではありません。
むしろ引っかけとして、
「本文の言葉を使った巧みなウソ」
で選択肢は作られていることがほとんどです。
これみよがしに、
傍線部の数行前や数行後ろにある言葉を使って
選択肢を作ることもしばしばです。
あなたは、選択肢を選ぶ際に
「なんとかく、これっぽいな〜」
「本文に似たこと書いてたからこれだろう」
という「っぽい」や「だろう」で
解答を選んではいませんか?
そんな状態では、間違うための選択を
喜んでしてしまっていると言えます。
特に2択まで削ることができてから
いつも間違ってしまうタイプの生徒は、
最後の最後、2択まで削ってから
「っぽい」や「だろう」で選ぶ傾向があります。
では、どのように選択肢を選ぶ必要あるのでしょうか?
細かく区切って、「◯△×」って何?
選択肢は、選択肢の頭に○や×をつけるのではありません。
選択肢の文章を細かく区切り、その区切った箇所に
- 本文に根拠があれば「◯」
- 記憶が不確かで、本文で要確認なら「△」
- 本文に根拠があり明らかに誤りなら「×」
と、以上の3つのチェックをいれることが大切になります。
そして、あわせて大事になるルールとしては、
「◯」と「×」をつける際には、
本文の根拠となる部分にも
セットでチェックをいれること
がポイントです。
生徒たちはよほど自分の記憶力に自信があるのか、
1度目を通した文章を完璧に覚えているつもりで
「本文中の根拠も示さず、◯や×を入れる」
ことが見受けられます。
これが習慣化すれば、あとは語彙力だけで
小学生でも共通テストの現代文の選択肢は
解答にたどり着くことができるでしょう。
では、実際にやってみよう!
問題を確認します。
(2)傍線部②「顔をしかめて、身をひいたが、ぱっと頬が熱くなると、きみ子はまごついて、素直に受け取った。」とありますが、このときのきみ子の気持ちを表しているものをア〜エから選んで記号を書きましょう。
まずは、前回言い換えて解釈を深めた内容と照らし合わせて
ふさわしい候補となるものを選んでみましょう。
=「嫌な気持ちでそっぽを向いたが、(何かに気づき)恥ずかしさなどで顔が熱くなり、きみ子はもじもじしながら、抵抗せずに受け取った。」
ア:土の上に[△]|落ちたもの[△]|を食べるのは[△]|いやだった[○]|が、啓吉の[△]|触れたもの[△]|だと気がついて[○]|受け取る気になった[△]。
「もじもじしながら抵抗せず」の部分の言及が
この選択肢には薄い気がします。
ですが、×はついていませんので
候補にはなりえる状態です。
続いて、イの選択肢をみてみましょう。
=「嫌な気持ちでそっぽを向いたが、(何かに気づき)恥ずかしさなどで顔が熱くなり、きみ子はもじもじしながら、抵抗せずに受け取った。」
イ:人の食べかけ[△]|をたべるのは[△]|あまり気が進まない[×]|が|母の親切[△]|を裏切るのは[×]|悪いと思い直した[×]|。
「あまり気が進まない」という言葉は、
「しぶしぶだがやる」意味が入っています。
身をひいているのなら一度はやらないので違います。
後半の部分も、解釈部分とは大きく異なるので
この選択肢は、まず除外候補となるものですね。
続いては、ウの選択肢です。
=「嫌な気持ちでそっぽを向いたが、(何かに気づき)恥ずかしさなどで顔が熱くなり、きみ子はもじもじしながら、抵抗せずに受け取った。」
ウ:あまり好きではない[△]|ざくろだが[△]|、これから出征する啓吉の[△]|無事を[△]|食べながら[△]|祈ろうと思った[×]。|
本文を読まなければ確認できない△内容が多い選択文です。
ですが、最後の述語の部分は明らかに違います。
1つでも×がつけば、その選択肢は候補から外れます。
この解き方のいい部分ですね。
では、最後の選択肢のエが解答となるかもしれませんね。
=「嫌な気持ちでそっぽを向いたが、(何かに気づき)恥ずかしさなどで顔が熱くなり、きみ子はもじもじしながら、抵抗せずに受け取った。」
エ:啓吉の食べかけを[△]|母の前で[△]|食べるのは恥ずかしかったが[○]|、食べないと余計に変に思われる[◯]|のでとまどった。[○]
恥ずかしさの理由がちょうど分かるような選択肢です。
もしかすると、
「母が誰かの食べかけのざくろを手渡したが、
思いを寄せる男の子が口にしたものだと気づき、
恥ずかしくなってどきどきしてもじもじしたが、
ここで意識して食べないという選択も
母に好きだという気持ちがバレるといけないから
最後は言われた通りに従って受け取った。」
という内容が本文から「妄想」できます。
傍線部を言い換え解釈を深めておき、
設問を細かく分けて分析することで、
本文を読まずともここまでの内容は
推察することはできました。
ですが、アかエかどうかは、
「本文と照らし合わせて判断しなければ」
選び切ることはできません。
実際、この問題の解答は「ア」なのですが、
本文には△の部分を埋める根拠が示されています。
思い込みや妄想で判断せず、
本文中からの根拠を元に判断することの重要性を
この中学受験の問題は教えてくれているように思います。
3つ目の読解ポイントのまとめ
これらのことから、3つ目の読解ポイントを
実行して問題を解くためには、
- 選択肢の文章を細かく区切って、「◯△×」をつける。
- 設問の傍線部を言い換えて解釈を深めた内容と照らし合わせて削る
- 残った選択肢を、「本文と照らし合わせて」根拠を元に選び出す。
ということになります。
もう一度、3つの読解ポイントを復習しておくと
- 設問で「何が問われているのか」「どのように答えなければならないか」正しく把握する
- 傍線部の文章の中の「あるとないとでは意味が変わる語句」を別の表現に言い換え解釈する
- 選択肢を細かく区切り、本文と照らし合わせて根拠をもとに誤りを判断する
となり、それほど多くの項目に意識することはありません。
これらの3つのポイントを意識して解くことを
読解の「当たり前」とすることが読解演習の目的です。
「そんなめんどいことせんでも解ける」
「いちいち、こんことやってられるか」
「自己流で日本語だから読み解けるし」
というかたには、オススメは致しません。
しかし、読解がどうしても解けないという生徒にとっては、
何かしらの助けになることは間違いありませんからね〜。
どうぞ、読解力を向上させて
他教科へもいい影響を与えていってください!
ちゃん♪ちゃん♫
学校