『2021年度 第一回基礎学「理科」の問題分析(4)』
さて本日はラストとなる、「地学」の分析を行います。
大問4に中1地学の柱状図の問題が。
これが今回の問題の中で一番厄介だったかもしれません。
大問6に中2地学の飽和水蒸気量が。
この問題は満点をとって欲しい簡単な問題でした。
さて、いってみましょう!
大問4 中1地学 地層:柱状図
会話形式となっており、和夫くんと先生とのとある地域のボーリング資料と地形図をもとに、地層や地形について考察した内容となっています。
最後の問題は少しひねってはあるものの、それほど難易度が高いわけでもありません。
問題の意図を読み取って、知識と結びつけることができれば点数につなげることができるでしょう。
(1)れき岩・砂岩・泥岩のように、土砂などが長い年月の間に押し固められて岩石になったものを何というか。
これは単純な知識確認問題ですね。
答えは、「堆積岩」です。
(2)次の文は、図2の柱状図aの地層Xと地層Yの粒の大きさからわかることを説明したものである。文中の( ① )、( ② )に当てはまる語の組み合わせとして最も適切なものを、次のア〜エから1つ選べ。
川の水によって河口に運ばれてきた土砂は、粒が( ① )ものほど河口から遠く離れたところまで運ばれる。このことから、地層Xができたときは、地層Yができたときに比べて河口からの距離が( ② )と考えられる。
ア:①大きい ②近かった
イ:①大きい ②遠かった
ウ:①小さい ②近かった
エ:①小さい ②遠かった
堆積岩は、粒の大きさが小さいほど、川の流れの力によって遠くに流されます。
そして、粒の小さいものが堆積することは、より河口から浅い部分である証拠になります。
よって、答えは「ウ」となりますね。
(3)図2の地層Xの砂岩の層から発見されたビカリアの化石から、この砂岩の層ができた年代を知ることができた。ビカリアの化石のように、地層ができた年代を知る手がかりとなる化石を何というか書け。また、この地層ができた年代はいつか、最も適切なものを次のア〜ウから1つ選べ。
ア:古生代
イ:中生代
ウ:新生代
さて、これも単純な知識問題です。
ちなみに、古生代は「三葉虫・フズリナ」。
中生代は、「恐竜・アンモナイト」。
新生代は、「マンモス・ナウマンゾウ・ビカリア」となっています。
よって答えは、「示準化石:ウ」となりますね。
(4)和夫さんが考察したように、この地域では地層全体が傾いている。この地域の地層はどの方角に向かって低くなるように傾いているか。和夫さんの会話文中の( P )に当てはまる方角として最も適切なものを、八方位で答えよ。
和夫:この地域の地層は、互いに平行に重なっていて、地層には上下の逆転や断層はないことが知られています。このことと、今回作った柱状図から、この地域の地層は( P )の方角に向かって低くなるように傾いていることがわかりました。
なかなかいい問題です。
まずは、与えられている図1と図2の情報を整理してみることが肝心です。
高さを揃えて柱状図を書き直してみると、鍵層が同じ位置にある地点が見て取れます。
「AとC」、「BとD」地点での凝灰岩の層が一致しています。
このことから、「AとC」方向へと地層が下にズレていることが判明しました。
よって、答えは「西」となります。
(5)次の図3は、図1の地点A、B、Eを通る地表の鉛直方向の断面図である。また、実践はAE間の地表面を表している。この断面で観察できる火山灰の層を直線で解答用紙に書き加えよ。
A点の凝灰岩の層は、海抜20m地点にあります。
そして、B点の凝灰岩の層は、海抜25m地点にあります。
このことから考えると、100m東にズレることで
凝灰岩の位置が5m高くなっていることが見て取れます。
よって、この2点の海抜を結んだ直線上に凝灰岩の層が
一直線上に存在していることになります。
これは、読み取りができれば簡単な問題ですが、
よく練られた良問であると言えると思います。
大問6 中2地学 飽和水蒸気量
一見すると簡単な問題に見えます。
ですが、飽和水蒸気量の意味が分かっていない生徒や
小学生の算数の割合の概念が形成されていない生徒にとっては
かなりの難問になると思われます。
与えられた図をまず示しておきますね。
(1)A~Dの空気のうち、湿度が最も高いのはどれか。
湿度、難しいと思っている生徒の多くは、小学生の割合がマスターできていないということになります。
以下の図のように書き換えるとどうでしょうか?
めちゃくちゃ簡単なことを聞かれていると思いませんか?
このように、実際に学んだ知識を別のシンプルなものへと
変換させて考えることで、理解度は深まります。
答えは一目瞭然、「B」となりますね。
(2)A~Dの空気のうち、露点が同じものはどれとどれか。
これも、本質的な理解を問う問題です。
これも図で考えてみることにしましょう。
こう考えると、実際に含まれている水蒸気の量が同じであれば、
露点も同じ温度になるということになりますね。
ということで、答えは「AとC」です!
(3)Dの湿度は何%か。最も適切なものを次のア〜エから1つ選べ。
ア:22%
イ:33%
ウ:44%
エ:55%
(1)の解説のときにすでに、表記されていますね。
答えは、「イ」の33%です。
(4)A~Dの空気のうち、露点が最も低いのはどれか、A~Dから1つ選べ。また、そのときの温度を書け。
(2)の解説を理解できていれば、瞬殺ですね。
実際に含まれる水蒸気量が一番少ないものが、露点が一番低くなります。
Dに実際に含まれる水蒸気が10gと最も少ないことが分かります。
答えはもちろん、「D」となり、飽和水蒸気量が10gのときの温度は、
「11℃」となりますね。
(5)ある部屋の中の空気は、温度22.5℃、湿度50%、体積が25m3であった。この部屋の温度を22.5℃に保ったまま、部屋の空気の湿度を80%にするためには、何gの水蒸気を補給する必要があるか。ただし、温度22.5℃の空気の飽和水蒸気量を20.0g/m3とする。
難しく感じましたか?
これもやはり、まずは図示して考えてみましょう。
驚くほど簡単なことに、憤りを感じるかもしれませんよ(笑)
はい、これだけです。
よって、答えは「150g」となります。
地学の考察
感覚的には、地学が最も本質的な原理や概念を問いかけていました。
良問揃いでしたかね。
某中学では、理科の平均点が「53.3点」という状況に。
予想以上に悪いです。
全体的には簡単だったという印象の理科でしたが、
やはり原理や意味を理解せず、
ただ作業として手を動かすだけの演習をすることが
学習だと勘違いしている生徒たちを
蹴散らす破壊力は今回の基礎学にはあったようです。
塾内でも結果は様々です。
生徒たちはこれで気づくはずです。
「今までのやり方ではマズい!」と。
ヤバイと心の底から感じたときが、
学習にとっての最適のタイミングです。
生徒たちが伸びていくのは、
まさにこれからなのです!
学校