激しい難易度であった理科。
その中でも特に正答率が低そうであった、
大問1と大問8の解説を2日に渡って
解説してみようと思います。
本日は、
大問1の中2の化学の分野の解説です。
では、いってみましょう!
今日は、そんなお話です。
酸化銀の熱分解の実験!?
酸化銀を加熱する[実験]を行った、次の問いに答えなさい。
[実験]
① 黒色の酸化銀2.32gを乾いた試験管Xに入れ、図1のような装置を組み立てて加熱した。
② 発生した気体を水上置換法で集めた。
③ 発生した気体のうち、(a)はじめに出てくる気体は試験管1本分を捨てて、一定量の気体が集まったところで、火を消す前に(b)ある操作を行い、加熱をやめた。その際、加熱後の試験管X内の物質の質量を測定したところ、2.18gの物質が残っていた。
④ 操作③終了後、試験管X内に残っていた物質を操作①と同様に乾いた試験管Yに入れて再び加熱し、気体が発生しないようになるまで十分に加熱したところ、加熱後の試験管Y内の物質の質量は2.16gに変化していた。
(1)[実験]で、下線部(a)のようにする理由を「はじめに出てくる気体は、」に続けて簡潔に書け。
これはベタな問題ですね。
真空の中や宇宙空間での実験ではありません。
よって、試験管内には元々空気が含まれています。
その空気が発生する気体に押し出されて、
はじめは出てきてしまうわけです。
よって答えは、
「(はじめに出てくる気体は、)
試験管内に含まれる空気が大部分を占めるから」
で大丈夫でしょう。
(2)[実験]で、下線部(b)のある操作とはどのような操作か、簡潔に書け。
これもベタな問題ですね。
加熱し気体が発生している試験管内は、
高温状態になっています。
そして、その高温状態の気体は膨張し、
気圧が高い状態になっています。
加熱を止めることで、
金属は急激に温度が下がります。
同時に、気体の温度も低下し
収縮が始まり試験管内の気圧が下がります。
このことから、
加熱を止める前に、水槽内に入れて水上置換法で
期待を集めているガラス管を
水槽から出しておかなければ、
気圧の低下に伴って水槽内の水を吸い上げてしまいます。
吸い上げた水が、加熱部に触れると
その温度差からガラスは破損する恐れがあります。
単純な問題ではありますが、
このような物理学上の流れがあっての
解答につながっていくわけです。
単純に、「この記述問題にはこの解答」
という安易な丸暗記タイプの生徒は、
少し実験の条件が違っただけで
関係のない答えを書いてしまい間違います。
よって答えは、
「ガラス管を水槽から出しておく」
でOKですね。
(3)[実験]で、発生した気体と同じ気体が発生する方法を、次のア〜オから2つ選べ。
ア:過炭酸ナトリウムに約60℃のお湯を加える。
イ:マグネシウムリボンにうすい硫酸を加える。
ウ:二酸化マンガンにオキシドールを加える。
エ:炭酸カルシウムにうすい塩酸を加える。
オ:水酸化カルシウムと塩化アンモニウムを混合する。
いやらしい問題です。
まずは、酸素が発生するということが
分かっていなければ問題外となります。
上位層であっても、一般的な問題で問われる
気体の発生方法以外はあまり覚えていないものです。
よって、明らかに違うものを消去法で選び出す必要があります。
例えば、
「酸性の液体に金属を反応させると水素が発生する」
というのは必須の知識です。
ただし、金銀銅以外、という条件付きもセットですね。
よって、「イ」は除外されます。
また、「炭酸〇〇に塩酸」とくれば、
二酸化炭素も思い浮かぶでしょう。
加えて、アンモニウムという金属を見れば、
アンモニアも難しくないはずです。
よって答えは、
「ア・ウ」
となりますね。
ここでも、正答率は低いような気がします。
(4)[実験]で、酸化銀に起きた化学変化を化学反応式で表せ。ただし、酸化銀の化学式はAg2Oをする。
ここでもベタな問題が出ました。
しかし、酸化銀ということで、
もしかすると書き慣れない生徒は
ミスが出てしまったかもしれません。
答えは、
「2Ag2O → 4Ag + O2」
となりますね。
(5)割合の高難易度問題!?
(5)操作③終了後、実験前に用意した2.32gの酸化銀のうち、何%の酸化銀が分解されずに残っていたと考えられるか。
おそらく、かなり多くの生徒が
「え?何について質問されてるの?」
状態だったと思われます。
解説が分かりやすくなるように、
以下のような挿入問題を条件として挟んでおきます。
4gの銅と1gの酸素が結びついている酸化銅5.0gがある。このとき、0.5gの酸素が失われると、何%の銅が分解されずに残っていると考えられるか。
このような見慣れて、
扱い慣れた物質の場合
「あ、1gの酸素が0.5gになってるってことは、
半分だから50%失われたんだな。
だから、化合する銅も50%還元されて、
50%は残って結びついてるんだな」
と分かります。
しかし、あまり見慣れもせず
反応する質量比も知らないような
酸化銀の場合は、
作図による情報の整理整頓が必要になります。
そもそも、酸素が何g結びついているか
問題の条件から導き出す必要もあり、
もともとの銀が何gあるかも
下準備として出しておく必要があります。
かつ、
1gから0.5gのような感覚的に50%と
わかるのなら簡単ですが、
全体0.16gから0.02gが何%かを導き出すには
よほど割合に親しんでいる必要があります。
中学受験時代に培ったものでなければ
一般公立中学生がこの問題をサクッと
立式することは非常に難しいものがあります。
あなたはいかがでしたか?
(6)思考力問題としてはすごくいい問題!?
(6)[実験]と同様にして、発生する気体を200㎤集めたい。このとき、必要な酸化銀は何gか。ただし、発生する気体の密度は0.0013g/㎤とする。
こっちの問題は、まだなんとかなった
という生徒もいたかもしれませんね。
先ほどの(5)と同様に、
図に直して情報を整理しておきます。
密度、という言葉を見て
「あ、1㎤あたりの質量のことだな」
という言い換えが頭の中できなければ
もうアウトとなるでしょう。
数学や理科において、
語句を知っているということは
定義を知っているということを指します。
もっと言えば、
定義を分かりやすいものに言い換えられる
ということでもあるでしょう。
得られた情報に対して、
「見たことがある」
「聞いたことがある」
「扱ったことがある」
というだけでは、
全く太刀打ちができないのが
高校からの学習です。
中学生に向けて、
「高校とはこういう世界なのだよ」
と伝えたいがための
難易度だったのかもしれませんね。
ちゃん♪ちゃん♫
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校
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