本日は、大問4の論説文の解説です。
すこし凝った問題形式もあり、
解答を見つけ出すのに時間が
少々かかってしまうかもしれませんが
答えが見つからず困るというものでは
なかったように思います。
今年の第一回基礎学の論説、
では見ていくことにしましょう!
今日は、そんなお話です。
大問4雑感:幸田正典『魚も魚の姿を自分とわかる:賢いのはヒトだけじゃない』より
大阪公立大学の教授である幸田正典教授の
Proceedings of the National Academy of Sciences
に掲載された論文からの出題となっています。
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2208420120
出典が基礎学には記載されていますが、
河出書房から探しても書籍としては見つかりませんでした。
題名も少し違いましたが、
よく似た論文を発見し、
おそらくこの内容からの出典であろうと思います。
内容としては、論文であることも相まって、
中学生にとっては小難しいものとなっていかもしれません。
しかし、論理構造としては非常にすっきりしたもので、
語彙で詰まることがなければ、
読みやすいものであるとも言えると思います。
問題の難易度的には、ひねってところや出題の工夫もみられ、
時間がかかってしまうことも予想される問題でした。
しかし、決して難しいと言えるほどではなかったと思います。
大問4-(1):接続詞の判断問題
( )に当てはまる言葉として最も適切なものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:さらに
イ:しかし
ウ:だから
エ:では
接続詞を問う問題。
毎年定番の問題にはなっています。
前段の内容から判断すれば自ずと答えは導かれます。
因果関係を表す内容とですから、
答えはもちろん、「ウ」ですね。
大問4-(2):抜き出し問題
傍線部①「予想される」とあるが、予想されたのはどのようなことか。「顔」「個体」という言葉を用いて「こと。」に続く形で十字以上十五字以内で書きなさい。
傍線部①の範囲が狭く、もう少し文章を読んでみると
「その顔に変異があると予想される」
とあります。
出ました、指示語の「その」ですね。
指示語が設問にくっついてきている場合、
100%その指し示す対象を明らかにしておく必要があります。
この場合は、「ホンソメ(ワケベラ)の」を指します。
次に、「変異」を言い換えると「違いがある」
ということになるでしょう。
最後に、設問の条件である「顔」と「個体」を
付け足してみると、答えとなりますね。
「ホンソメの顔が個体ごとに違う(こと:14字)」
問題を解く時の作法的なことをしっかりすれば、
非常に簡単に答えに辿り着くことができました。
英語も同じですが、ルールが国語も重要なのです。
大問4-(3):内容選択問題
Ⅰ〜Ⅲの小見出しとして適切なものを、次のア〜エからそれぞれ一つずつ選び、記号で答えなさい。
ア:魚にもこころがある
イ:動物はどのように鏡の自分を認するのか
ウ:ホンソメでマークテストをやってみた
エ:ホンソメはどのように自己認知するのか
この問題は、
段落ごとの内容を要約し、
その段落に相応しい見出しを判断するという
すこし変わった問題です。
段落の始めと最後を見ることで、
筆者の主張がつかめます。
1〜2段落は、ホンソメを実験に用いた理由と実験内容、
そしてその理由から魚が鏡像自己認知できると判断したこと。
3〜7段落は、ホンソメがどのように鏡像自己認知をするのか、
ということの説明に当てられています。
8〜11段落は、実験を通して魚にこころらしきものが
存在するという結論部分となっています。
このことから答えは、
「Ⅰ:ウ、Ⅱ:エ、Ⅲ:ア」
となりますね。
文章要約が苦手なタイプの生徒さんは、
常日頃からどのような学習においても
「ポイント:一番大切な意識を向けるべきところ」
を無視した状態で学んでいる傾向があります。
じゅくちょーから言わせれば、
むしろその状態での学習は
「学んでいる」とは呼べません。
どのような学びであっても、
「ポイント:一番大切な意識を向けるべきところ」
を探し出そうとする学びを大事にしてください!
大問4-(4):内容推測問題
―線部②「さらに実験をした」とあるが、本文中の[ ]にはどのような実験結果が入るか。最も適切なものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:ホンソメは、鏡に映る自分の顔にある模様やシミで、他個体を識別したのである。
イ:ホンソメは、自分の顔の写真は攻撃せず、他社顔の写真は激しく攻撃したのである。
ウ:ホンソメは、鏡に映った自分の体についた寄生虫を見つけて、擦り落としたのである。
エ:ホンソメは、他個体の顔だが体は自分という合成写真を、全く攻撃しなかったのである。
これも前後関係の内容から判断して、
相応しい実験内容を推測する問題となっています。
普段の問題からは違った問題ではありますが、
「読めばわかる問題」です。
それまでの知識がものをいう問題ではありません。
カッコの後の文章は、
「この結果は、ホンソメが顔で自分を判断していることを明白に示している。」
と書かれています。
この内容がわかるための実験を選べばいいわけですね。
アは、自分の識別ではなく、「他個体を識別」と書いているので、×。
ウは、「寄生虫」への言及となっているので、×。
エは、顔ではなく、「体は自分」という内容となっているので、×。
答えは明らかに、「イ」ですね。
大問4-(5):内容要約問題
―線部③「寄生虫を取り除こうとするように目的や意図した振る舞いもしている」とあるが、このことが具体的な実験によって明らかになった段落を探し、段落番号で答えなさい。
問われていることを整理すると、
「具体的な実験で、寄生虫を取り除こうとするように目的や意図した振る舞いを、明らかにした段落はどこか?」
に答える問題ということになります。
傍線部③自体は、11段落にあるのですが、
ここの段落以外で「寄生虫/実験」という
内容への言及があるのは、
実は2段落だけなのですね。
何やら難しいそうな感じはしますが、
与えられた設問から得られた情報をまとめてから
解答となる内容を探すということを意識すると
簡単に答えは見つかるのですね。
答えは、「2段落」となります。
大問4-(6):内容要約問題
石田さんは、ホンソメとヒトとの共通点について、次のようにまとめた。( A )( B )にあてはまる適切な言葉を書きなさい。ただし、( A )は、本文中から九字で探し、抜き出して書くこと。( B )は、本文中の言葉を用いて、二十五字以上三十字以内で書くこと。
ホンソメは、( A )のやり方がヒトと変わらない。また、ヒトの社会行動と似た社会的振る舞いができるのは、( B )からである。
内容を整理すると、
「ホンソメのやり方=ヒトのやり方」
それって何?=( A )
ということになります。
そして、
「ホンソメはヒトと似た社会的振る舞いができる」
何が要因で?=( B )
このそれぞれに相応しい答えを本文から探すだけです。
「やり方」という言葉は、
7段落と9段落に含まれています。
上記の( A )に相応しい9字の内容は
11段落の4行目の内容でした。
答えは、「自己認識や他者認識」ですね。
「社会的振る舞い」という言葉は、
10段落の4行目にしかありません。
その直前の内容が必然的に答えとなる
書き方をしていました。
設問からキーワードだけを探す問題となり
あまり面白味はなかったですね。
答えは、「相手の識別とほぼ同時に相手との社会関係のイメージが出てくる(から:29字)」ですね。
論説文の考察
問題形式としては、
少し捻った問題もありました。
ですが、結局は設問をよく読み
問われていることを整理し、
言い換えを通して方程式的に
求めなければならない内容や
解答となる部分を探し出すだけでした。
正しい「解き方」が身についていれば、
それほど難しい内容ではなかったと思います。
「読み方」ばかりを練習し、
「解き方」の練習ができていないと
足元をすくわれてしまう問題ではあったので
国語の正しい「解き方」を身につけておくことで
基礎学の国語は簡単に突破できますね。
ちゃん♪ちゃん♫
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校
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