本日は、大問3の解説に入ります。
今年は大問3が古文でした。
難易度的には、「普通」ですかね。
例年よりも読解の側面が強く、
そして文化史の問題も出題され
ミスがありそうな問題でした。
今日は、そんなお話です。
大問3雑感:『十訓抄』より
第一回の古文で「十訓抄」が出題されたのは
令和元年ぶりです。
しかし、昨年度の入試においては出題されたこともあり
聞き馴染みのある作品であったように思います。
鎌倉時代中期の作品で、
同じく鎌倉時代の作品には
作品名 | 作者 | ジャンル | 年代 |
方丈記 | 鴨野長明 | 随筆集 | 鎌倉時代初期 |
宇治拾遺物語 | 編集者未詳 | 説話物語集 | 鎌倉時代前期 |
平家物語 | 編集者未詳 | 軍記物語 | 鎌倉時代前期 |
沙石集 | 無住道暁 | 仏教説話集 | 鎌倉時代後期 |
御伽草子 | 編集者未詳 | 短編物語 | 鎌倉時代後期 |
徒然草 | 兼好法師 | 随筆集 | 鎌倉時代末期 |
などがあります。
最後の設問では、
「十訓抄」と同じ年代の作品を問う問題もあり、
すこし難しく感じる人もいたことでしょう。
作品の内容は以下に示しておきます。
博雅の三位、月の明かかりける夜、直衣にて、朱雀門の前に遊びて、夜もすがらa[笛]を吹かれけるに、同じさまに、直衣着たる男の、b[笛]吹きければ、たれならむと思ふほどに、その笛の音、この世にたぐひなくめでたく聞こえければ、①[あやしくて]、近寄て見ければ、いまだ見ぬ人なりけり。我もものをも言はず、かれも言ふことなし。かくのごとく、月の夜ごとに、行きあひて吹くこと、夜ごろになりぬ。
②[かの人の笛]の音、ことにめでたかりければ、こころみに、かれを取りかへて③[吹きければ]、世になきほどのc[笛]なり。その後、なほなほ月ごろになれば行きあひて吹きけれど、「もとの笛を返し取らむ」とも言わざりければ、長くかへてやみにけり。三位失せて後、帝、このd[笛]を召して、時の笛吹きどもに吹かせらるれど、④[その音を吹きあらはす人なかりけり。]
「十訓抄」より
大問3-(1):古典的仮名遣い
傍線部「言はず」を現代仮名遣いに直して、すべて平仮名で書きなさい。
これは基本問題ですね。
平仮名にしていない人もいたりして。。。
答えは、
「いわず」
ですね。
大問3-(2):内容選択問題
傍線部①「あやしくて」とあるが、何を「あやしく」と思ったのか。最も適切なものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:月の出ていない夜に朱雀門から笛の音色が聞こえたこと。
イ:朱雀門でよく見かける男が、月のもとで笛を吹いていたこと。
ウ:直衣を着ている男いる男の吹く笛が、すばらしく聞こえたこと。
エ:笛を吹いている間、自分とその男は一言も話さなかったこと。
古語の「あやし」という意味は、
現代語の意味とは異なる意味もあります。
・見慣れない
・奇妙(不思議)だ
・身分が低い
・粗末な
・聞き苦しい
高校からは、このような意味を
知っておく必要がありますが、
今回は「不思議に感じ」くらいでOKでしょう。
そして、「いまだ見ぬ人なりけり」という文言から
その前までの内容を総合的に判断して、
答えは「ウ」であることがわかります。
の方程式に入る言葉を探せばいいわけです。
その後の内容には、「エ」のようなことは
書いてありますが時系列が違っていました。
引っかけ問題ですね。
大問3-(3):内容理解問題
傍線部②「かの人の笛」と【異なる】笛を、a~dから一つ選び、記号で答えなさい。
1段目の内容としては、
主人公の「博雅の三位(=源博雅)」が、
平安京などの宮城に南面する正門である朱雀門にて
貴族の平常服である直衣を着て
一晩中笛を吹いていたところ、
同じ服を着た見たことのない人が
この世のものとは思えないほど素晴らしい音色で
笛を奏でており、言葉を交わすことなく
月が出ている夜ごとにその笛の音色を聞きながら
夜を過ごした、というお話しです。
2段落目は、あまりに美しい音色だったので
笛を交換することになり、その交換した笛が
あまりにも良い出来の笛だったことで、
交換したまま長い間その笛を吹きに
月の夜には出かけていたが、
返してとは言われなかったことで、
「博雅の三位(=源博雅)」が亡くなった後には
帝の手に渡ったが、当時の音色を奏でられる
笛吹は現れなかったという内容です。
この流れから考えると、
三位が出会った人の笛とは違うものを
指摘すれば良いということになります。
三位の笛を選べば良いので、
答えは、「a」となりますね。
大問3-(4):内容理解問題
傍線部③「吹きければ」とあるが、吹いたのは誰か。次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。
ア:博雅の三位
イ:直衣着たる男
ウ:時の笛吹きども
エ:帝
(3)の内容の要約から分かりますね。
答えは、「ア」です。
大問3-(5):内容理解問題
傍線部④「その音を吹きあらはす人なかりけり」から、筆者はどのようなことを伝えようとしたのか。最も適切なものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:帝が笛を上手に吹ける人を探していたということ。
イ:笛吹きでさえ吹くのが難しい笛を、三位が吹きこなしたということ。
ウ:この笛を吹きたがる笛吹はいなかったということ。
エ:三位ほど、笛の音につられてあちこちに行った人はいなかったということ。
先ほど同様、(3)の内容要約から判断できますね。
答えは、「イ」となります。
大問3-(6):文学史問題
「十訓抄」は鎌倉時代に成立したが、同じ時代に成立した作品を、次にア〜オから二つ選び、記号で答えなさい。
ア:徒然草
イ:古今和歌集
ウ:竹取物語
エ:平家物語
オ:枕草子
冒頭の表を見てもらえれば
一目瞭然ですね。
答えは、「ア・エ」です。
ちなみに、古今和歌集は平安時代前期。
竹取物語も、平安時代前期。
枕草子は、平安時代中期の作品です。
「平安時代作品セット」で
覚えておくことをお勧めします!
古文は例年並みだった!?
設問の構成としては、
例年と変わらずです。
今回は、若干読解の要素が多くなっていました。
ですが、選択問題だったことで、
比較的内容が理解できずとも、
答えは選び取れるような問題であり
正答率も高くなっているように感じます。
最後の文学史の知識に関しては、
虚をつかれたかもしれませんね。
入試でも問われる可能性があります。
文学史や作品の著者に関する知識なども
総括的に覚え直しておく必要はあるでしょう。
明日は、論説文の解説となります。
お楽しみに!
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