じゅくちょーの雑談

R6年度 第1回基礎学力テスト 国語の問題分析(3)

じゅくちょー

本日は、大問3の解説に入ります。

今年は大問3が古文でした。

難易度的には、「普通」ですかね。

例年よりも読解の側面が強く、

そして文化史の問題も出題され

ミスがありそうな問題でした。

今日は、そんなお話です。

大学入学共通テストまで、あと95日!!

徳島県公立高校入試まで、あと122日!!

R6年度 第二回基礎学力テストまで、あと29日!!

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大問3雑感:『十訓抄』より

第一回の古文で「十訓抄」が出題されたのは

令和元年ぶりです。

しかし、昨年度の入試においては出題されたこともあり

聞き馴染みのある作品であったように思います。

鎌倉時代中期の作品で、

同じく鎌倉時代の作品には

作品名作者ジャンル年代
方丈記鴨野長明随筆集鎌倉時代初期
宇治拾遺物語編集者未詳説話物語集鎌倉時代前期
平家物語編集者未詳軍記物語鎌倉時代前期
沙石集無住道暁仏教説話集鎌倉時代後期
御伽草子編集者未詳短編物語鎌倉時代後期
徒然草兼好法師随筆集鎌倉時代末期

などがあります。

最後の設問では、

「十訓抄」と同じ年代の作品を問う問題もあり、

すこし難しく感じる人もいたことでしょう。

作品の内容は以下に示しておきます。

 博雅の三位、月の明かかりける夜、直衣にて、朱雀門の前に遊びて、夜もすがらa[笛]を吹かれけるに、同じさまに、直衣着たる男の、b[笛]吹きければ、たれならむと思ふほどに、その笛の音、この世にたぐひなくめでたく聞こえければ、[あやしくて]、近寄て見ければ、いまだ見ぬ人なりけり。我もものをも言はず、かれも言ふことなし。かくのごとく、月の夜ごとに、行きあひて吹くこと、夜ごろになりぬ。

 ②[かの人の笛]の音、ことにめでたかりければ、こころみに、かれを取りかへて[吹きければ]、世になきほどのc[笛]なり。その後、なほなほ月ごろになれば行きあひて吹きけれど、「もとの笛を返し取らむ」とも言わざりければ、長くかへてやみにけり。三位失せて後、帝、このd[笛]を召して、時の笛吹きどもに吹かせらるれど、[その音を吹きあらはす人なかりけり。]

「十訓抄」より

大問3-(1):古典的仮名遣い

傍線部「言はず」を現代仮名遣いに直して、すべて平仮名で書きなさい。

これは基本問題ですね。

平仮名にしていない人もいたりして。。。

答えは、

「いわず」

ですね。

大問3-(2):内容選択問題

傍線部①「あやしくて」とあるが、何を「あやしく」と思ったのか。最も適切なものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。

ア:月の出ていない夜に朱雀門から笛の音色が聞こえたこと。
イ:朱雀門でよく見かける男が、月のもとで笛を吹いていたこと。

ウ:直衣を着ている男いる男の吹く笛が、すばらしく聞こえたこと。
エ:笛を吹いている間、自分とその男は一言も話さなかったこと。

古語の「あやし」という意味は、

現代語の意味とは異なる意味もあります。

・見慣れない
・奇妙(不思議)だ
・身分が低い
・粗末な
・聞き苦しい

高校からは、このような意味を

知っておく必要がありますが、

今回は「不思議に感じ」くらいでOKでしょう。

そして、「いまだ見ぬ人なりけり」という文言から

その前までの内容を総合的に判断して、

答えは「ウ」であることがわかります。

の方程式に入る言葉を探せばいいわけです。

その後の内容には、「エ」のようなことは

書いてありますが時系列が違っていました。

引っかけ問題ですね。

大問3-(3):内容理解問題

傍線部②「かの人の笛」と【異なる】笛を、a~dから一つ選び、記号で答えなさい。

1段目の内容としては、

主人公の「博雅の三位(=源博雅)」が、

平安京などの宮城に南面する正門である朱雀門にて

貴族の平常服である直衣を着て

一晩中笛を吹いていたところ、

同じ服を着た見たことのない人が

この世のものとは思えないほど素晴らしい音色で

笛を奏でており、言葉を交わすことなく

月が出ている夜ごとにその笛の音色を聞きながら

夜を過ごした、というお話しです。

2段落目は、あまりに美しい音色だったので

笛を交換することになり、その交換した笛が

あまりにも良い出来の笛だったことで、

交換したまま長い間その笛を吹きに

月の夜には出かけていたが、

返してとは言われなかったことで、

「博雅の三位(=源博雅)」が亡くなった後には

帝の手に渡ったが、当時の音色を奏でられる

笛吹は現れなかったという内容です。

この流れから考えると、

三位が出会った人の笛とは違うものを

指摘すれば良いということになります。

三位の笛を選べば良いので、

答えは、「a」となりますね。

大問3-(4):内容理解問題

傍線部③「吹きければ」とあるが、吹いたのは誰か。次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。

ア:博雅の三位
イ:直衣着たる男
ウ:時の笛吹きども
エ:帝

(3)の内容の要約から分かりますね。

答えは、「ア」です。

大問3-(5):内容理解問題

傍線部④「その音を吹きあらはす人なかりけり」から、筆者はどのようなことを伝えようとしたのか。最も適切なものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。

ア:帝が笛を上手に吹ける人を探していたということ。
イ:笛吹きでさえ吹くのが難しい笛を、三位が吹きこなしたということ。

ウ:この笛を吹きたがる笛吹はいなかったということ。
エ:三位ほど、笛の音につられてあちこちに行った人はいなかったということ。

先ほど同様、(3)の内容要約から判断できますね。

答えは、「イ」となります。

大問3-(6):文学史問題

「十訓抄」は鎌倉時代に成立したが、同じ時代に成立した作品を、次にア〜オから二つ選び、記号で答えなさい。

ア:徒然草
イ:古今和歌集
ウ:竹取物語
エ:平家物語
オ:枕草子

冒頭の表を見てもらえれば

一目瞭然ですね。

答えは、「ア・エ」です。

ちなみに、古今和歌集は平安時代前期。

竹取物語も、平安時代前期。

枕草子は、平安時代中期の作品です。

「平安時代作品セット」で

覚えておくことをお勧めします!

古文は例年並みだった!?

設問の構成としては、

例年と変わらずです。

今回は、若干読解の要素が多くなっていました。

ですが、選択問題だったことで、

比較的内容が理解できずとも、

答えは選び取れるような問題であり

正答率も高くなっているように感じます。

最後の文学史の知識に関しては、

虚をつかれたかもしれませんね。

入試でも問われる可能性があります。

文学史や作品の著者に関する知識なども

総括的に覚え直しておく必要はあるでしょう。

明日は、論説文の解説となります。

お楽しみに!

ちゃん♪ちゃん♫

たろー

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