本日は、大問3の論説文の解説です。
例年、論説文は大問4に配置されています。
しかし今回は、漢文が大問4に回り、
小説に連続して論説文の出題となりました。
この点から少し時間配分の点で、
慌てる結果となった生徒もいたかもしれませんね。
古典を解く時間をここで消費してしまえば、
解けるものも解けなくなってしまいますから。
今日は、そんなお話です。
大問3雑感:橋本純一郎『時間はなぜ取り戻せないのか』より
少し古い書籍となりますが、
PHPサイエンス・ワールド新書となったものです。
東進ハイスクール講師としても、
わかりやすい授業と参考書でカリスマ講師として人気の方。
参考書の『物理橋元流解法の大原則』シリーズなどは定評が高いですね。
やはり岩波新書にしても、
別の出版社の新書にしても、
公立高校受験用の題材としては
扱いやすいものが多いのでしょうね。
ちなみに、新書とは「本のサイズ」を指す言葉です。
新しく出版される本は「新刊」と呼びます。
新書は、様々な専門分野の入門書として刊行されることが多く、
政治や経済、学問、社会時評など、
特定の分野の知識をインプットしやすいのが特徴です。
知りたい分野の要点を抑えるにはうってつけであり、
だからこそ中学生や高校生に向けた国語の題材としては
うってつけという側面があります。
内容としては中学生には少し子難しいものとなっています。
ですが、設問としてはシンプルな構造となっており、
ラストの問題以外は比較的解きやすい問題だったと感じます。
大問3-(1):接続詞の判断問題
( a )( b )に入る言葉の組み合わせとして最も適切なものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア a : ところが b:すると
イ a : それとも b:また
ウ a : しかし b:たとえば
エ a : そこで b:つまり
この接続詞を問う問題。
昔から定番の問題ではありますが、
ここ最近になって生徒たちが間違うことに
驚いています。
数学で言うなら、大問1(1)レベルだと感じるのですが、
生徒の多くは文章の意味を考えず、
字面だけを追って読んでいるということなのでしょう。
段落毎の役割など考えることもないので、
接続詞の役割と文章や段落の役割の判断ができないらしいのです。
驚きますよね?
前後関係から判断すれば自ずと答えは導かれます。
答えは、「ウ」ですね。
大問3-(2)-①:抜き出し問題
本文で述べられている科学と技術について、次の問いに答えなさい。
① 次の表にある( ① )( ② )にあてはまる言葉を書きなさい。ただし、( ① )は、本文中の言葉を用いて五文字で書きなさい。( ② )は、本文中から十五字で抜き出して書きなさい。
由来 目的 技術 ( ① ) 生活を便利にするためのものづくり 科学 自然の探究 ( ② )という問いに答えること
①は、目的の部分に「ものづくり」とあります。
ということは、由来としても何かしらの工作的な
言葉が該当するはずです。
2段落にある「石器を作り出した」という言葉から
五文字で答えるならば
「石器づくり」
となりますね。
②は、由来が「自然の探究」とあります。
そして目的が、「〇〇という問いに答えること」
となっています。
4段落は、科学の由来に関して言及した段落となっています。
3行目には、
「自然哲学者たちは、この世界は何からできているのかという問いに答えようと奮闘した。」
と書かれています。
ここから十五字を導き出せば正解ですね。
答えは、「この世界は何からできているのか」となりますね。
とてもわかりやすい問題でした。
大問3-(2)-②:内容選択問題
科学・実験・技術の関係について述べたものとして最もふさわしいものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:科学にとって実験は不可欠であり、試行錯誤により技術は生まれた。
イ:科学にとって実験の精度を上げるためには、技術が不可欠であった。
ウ:科学は、実験と技術を高めるための社会貢献を目的として生まれた。
エ:科学は、実験成功の過程において技術の水準を高め発展させてきた。
先ほどの3-(2)-①の問題にて、
技術と科学の由来と目的について言及しました。
技術は、「生活を便利にするためのものづくり」として。
科学は、「この世界は何からできているのかという問いに答えるもの」として。
ここに、実験との関係性を重ね合わせれば良いわけですね。
技術と科学の由来と目的の文章から、
明らかにおかしいのは、アとウですね。
イとエは、若干似かよっています。
5段落の2行目には、
「正確な実験をするためには、技術が必要である。」
とあります。
これに相応しい文章は、イとなりますね。
これも比較的簡単な問題だったと思います。
大問3-(3):抜き出し問題
筆者の考える今後の科学の方向性について、次のようにまとめたとき、[ ] にあてはまる言葉を本文中より三字で探し、抜き出して書きなさい。
自然への素朴な関心と好奇心から生まれる各人の [ ] を認めていくことが大切である。
問われていることは、
・今後の科学の方向性についての筆者の考えを三字で
・何を認めていくか
→自然への素朴な関心と好奇心から生まれる〇〇〇
この問題の解答も10段落の4〜7行目に
まとめられています。
さほど複雑な問題でもなく、
「価値観」とだと分かります。
大問3-(4):内容要約問題
佐藤さんは、本文をもとに、「自然哲学的科学の面白さ」について【発表資料】にまとめた。【発表資料】の( A )( B )にあてはまる言葉を書きなさい。ただし、( A )は、本文中から三十二字で探し、初めの五字を抜き出して書きなさい。( B )は、「疑問」「からくり」の二語を用いて十五字以上二十字以内で書きなさい。
【ほとんどの人の考え】
2キログラムの方が、地上に先に落下する。なぜなら( A )から。【自然哲学的科学の面白さ(センス・オブ・ワンダー)】
科学の知見は、人々の常識を覆す。
→人々は、( B )。
→人々は感嘆する。
問われていることは、
・自然哲学的科学の面白さについて
・ほとんどの人が2キログラムの方が、地上に先に落下すると考える理由
→「〇〇〇だから、ほとんどの人が2キログラムの方が、地上に先に落下すると考える」につながるように理由を考えれば良い
14段落の5〜6行目の三十二字の初めの5字。
「重いものは」
が解答となりますね。
問われていることは、
・自然哲学的科学の面白さについて
・科学の知見は、人々の常識を覆す。
→人々は、(B:「疑問」「からくり」を含めた15~20字)。
→人々は「科学によって常識を覆し、「疑問」「からくり」〇〇で」感嘆する。
これに該当する言葉を探せばいいわけですね。
13段落の5〜7行目の言葉からなのですが、
少しややこしくなっています。
本文自体には「疑問」と言う言葉がこの段落にはなく、
「言い換え」によって「疑問」と言う言葉を
導く必要があります。
「なぜだろう?というお不思議な感覚〜」
=「疑問を持つ」
と考えて、まとめると良さそうです。
答えとしては、
「疑問と好奇心を抱かされ、からくりを知る」
で問題ないでしょう。
論説文の考察
最後の問題だけが、
言い換えを使った内容要約問題だったので
少し難しかったような気がします。
しかし、それ以外は基本的に問われていることに
忠実に本文に立ち返るだけで対応できる問題でした。
明日は、古典の解説をします。
今回は古文なのか漢文なのか。
内容はどうか、難易度はどうか。
お楽しみに。
ちゃん♪ちゃん♫
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