「先生、志望校ってみんなはどうやって決めてるん?」
「ほうやなぁ、まずキミの将来どうしたいかを聞かせてくれる?」
「うーん、プログラミングとかパソコンとか、情報系のことを勉強したいかなぁ。」
「うん、将来自分のしたいことから逆算して、自分のしたいことができる学校を選んでいくことが、先生の考える正しい志望校の選び方だと思うよ。」
このやり取りをした相手は、小学5年生の男子生徒です。しっかりと自分の将来のビジョンを持っているとお思いになりませんか?
でも、この質問を耳にした時、「ああ、これは志望校の選び方をただ単に聞きたい訳ではなさそうだなぁ」と感じ、以下のようなやり取りを始めました。少し長くなるので、本日のブログは何回か分けたいと思います。
「キミはパソコンやプログラミングの情報系の勉強をして、どんなことをやりたいのかな?」
「うーん、具体的にはまだ決まってないけど、ロボット系のこともしたいかもしれないです。」
「ほな、例えば大阪大学っていう大学があるのね。ここはアンドロイドなんかを作る最先端の教授がいる大学だよ?」
「えー、面白そう。他には勉強できるところはあるん?」
「今、日本には約1200校の大学とか専門学校があって、そのうちの3分の1くらいは工学部っていう工業系とかパソコン系のことを学べるところがあるんよ。」
「ほな、400校くらいもあるんやな!みんなはほんなに一杯学校があるのに、どうやって自分の行きたい学校を選んびょるん?」
「そうやなぁ、やりたい事ができる場所を探して行ってる子もいるにはいるけどねぇ。キミは偏差値って知ってる?基本的には専門学校じゃなくて、大学には偏差値っていうレベルたいなものがあるん。ゲームとかでも、あるレベルになってなきゃクリアできないステージとかがあるよね?」
「うん、あるある。ほな大学にはレベル別のランキングみたいなもんがあるんやなぁ。レア度で決まるんかなぁ?」
「黒板見てみ?今、全国模試の時間割って書いてるでしょ?この全国模試の結果で偏差値っていうレベルが判定されるのよ。今日は中1、中2のちょうど全国模試実施日なんよ。」
「おお!でも結局は頭の良さで、レベルが振り分けられるって訳なんやなぁ。」
「ううん、結果的にはそうなってるように思うかもしれんけど、先生はそうは思ってないのよなぁ。先生は『志の高さ』でレベルが振り分けられてると思ってるのよ。」
「『志』?どういう事?」
「そうだなぁ、東大って分かる?」
「うん、日本一の大学っていう感じ?」
「難易度とか、偏差値でいうと、まぁそれで正解かな。先生の直接の生徒で、合格した子は17年ではまだいないのやけど、中学まで教えた子とか卒業生にはおるんよね。そう言った子たちが地元に帰ってきて、東大に入ってみてどう?って感想を聞くわけよね。」
「うんうん、で?」
「上には上がおる!って言うのよ。実際のところ、先生なんかはそんな生徒とかを教えてはいるけど、『あっ、この子、もう自分を抜いたなぁ』って思うことなんかいっぱいあるのよ。」
「えっ!?先生を?そんなに賢いん?」
「そうなんよ!先生やただの凡人やから学力でいうと、先生より上の能力持ってる子たちなんて、ざらにいるんよ。ドランゴンボールでいうなら、キミから見たら先生はピッコロの地上の神様に見えるかもしれんけど、先生から見るとさっきの生徒たちなんかは界王様に見えるのよ。」
「界王様?それすごいでー!」
「でも、その界王様から見ても、東大の中には界王神様みたいな人たちがゴロゴロおるわけなんよ!で、その界王神様を教えている大学教授たちがおるわけやろ?もう、途方も無いくらい、訳わからん世界になってくるわけよね。」
「うわぁ。。。もうなんか、色んなこと諦めたくなってくるなぁ。。。」
「うん、気持ちが分からないでもないかな(笑)でも、ここで『志』が大切になってくるわけなんよ。」
「どういうこと?」
「志望校の中に、『志』って漢字が入ってるよね。『志』を望む学校。『志』の意味は、辞書には、「心に決めて目指していること。また,何になろう,何をしようと心に決めること。とか、 相手を思いやる気持ち。人に対する厚意。」って書いてあるのね。」
「ちょっと難しい〜!」
「ほうやなぁ(笑)先生の中では、『常に先を広く見て、自分の意思で今を決定すること』みたいな感じで捉えてるかな。他の誰かになることのために、自分の命の使い方を一生懸命考えて、今の自分の行動を決める人。なんか格好よくないで?」
「うん。カッコイイ!でも、それって僕でもできることでない?」
「よく気づいたなぁ!その通りなんよ!でも、知ってることが少なかったら、その分できることも少なくなるだろ?自分に持っている力が、やりたいことに対して足りなかったら、誰かのために生きることもできなくなるだろ?」
「ああ、だから周りの大人は、「とりあえず勉強しとき」って言うんか!」