『つばさ』の20の教育信条(クレド)
<人間について>
1.
どんな人も、世界にたった一人しかいない人です。
つまり、どの子どももどの大人も一人一人が
ほかの人や物によっては取り換えることのできない、
かけがいのない価値を持っています。
2.
どんな人も、自分らしく成長していく権利を持っています。
それは人種や国籍、性別、(同性愛であるとか異性愛であるなどの)
その人が持っている性的な傾向、生れついた社会的な背景、宗教や信条、
または、何らかの障害を持っているかなどによって
絶対に左右されるものであってはなりません。
自分らしく成長する、というのは、次のようなことを前提にしています。
- 誰からも影響を受けずに独立していること
- 自分自身で自分の頭を使って、物事について判断する気持ちを持てること
- 創造的な態度、人と人との関係について正しいものを求めようとする姿勢
3.
どんな人も自分らしく成長するためには、
次のようなものと、その人だけにしかない特別の関係を持っています。
- ほかの人々との関係
- 自然や文化について実際に感じたり触れたりすることのできるものとの関係
- 感じたり触れたりすることはできないけれども現実であると認めるものとの関係
4.
どんな人も、ひとまとまりの独特な人格を持った人間として、
どんなときにも受け入れられ、
できる限りそれに応じて待遇され扱われる権利があります。
5.
どんな人も、文化の担い手・文化の改革者として、
どんなときにも受け入れられ、
できる限りそれに応じて待遇され扱われる権利があります。
<社会について>
6.
わたしたちはみな、それぞれの人がもっている、
かけがえのない価値を尊重しあう社会を作っていかなくてはなりません。
7.
わたしたちはみな、
それぞれの人の固有の性質(アイデンティティ)を伸ばすための場や、
そのための刺激が与えられるような社会をつくっていかなくてはなりません。
8.
わたしたちはみな、公正と平和と建設性を高めるという立場から、
人と人との間の違いや、それぞれの人が成長したり変化していくことを
受け入れる社会をつくっていかなくてはなりません
9.
わたしたちはみな、地球と世界とを大事にし、
また、注意深く守っていく社会を作っていかなくてはなりません。
10.
わたしたちはみな、自然の恵みや文化の恵みとを、
未来に生きる人たちのために、責任を持って使うような社会を
作っていかなくてはなりません。
<学び舎について>
11.
学び舎とは、そこにかかわっている人たちすべてにとって、
独立し共同して作る組織です。
学び舎は、社会からの影響も受けますが、
それと同時に、社会に対しても影響を与えるものです。
12.
学び舎に関わる全ての大人たちは、
原理原則を指導し、子どもたち自らが学んでいける
出発点・土台を構築するサポートをします。
13.
学び舎で子どもたちが習得する教育の内容は、
私たちの社会が持っている大切な文化の恵みの中から引き出されます
具体的には、
- 子どもたちが実際に生きている暮らしの世界
- 知識や感情を通じて得られる経験の世界
- <人々>と<社会>の発展にとって大切な手段であると考えられる世界
という、子どもたちが触れる3領域から引き出され習得されます。
14.
学び舎での教育活動は、教育学的によく考えられた
道具・教具・教材を用いて、
教育学的によく考えられた環境を用意したうえで行います。
15.
学び舎での教育活動は、
対話・遊び・学習・イベントという4つの基本的な活動が、
交互にリズミカルにあらわれるという形で行います。
16.
学び舎では、子どもたちがお互いに学びあったり
助け合ったりすることができるように、
年齢や発達の程度の違いのある子どもたちを
慎重に検討して組み合わせたグループを作ります。
17.
学び舎では、子どもが一人でやれる遊びや学習と、
講師が指示したり指導したりする学習とが
お互いに補いあうように交互に行われます。
講師が指示したり指導したりする学習は、
特にレベルの向上を目的としています。
一人でやる学習でも、講師から指示や指導を受けて行う学習でも、
何よりも子ども自身の学びへの意欲が重要な役割を果たします。
18.
学び舎では、学習の基本である、
経験すること、発見すること、探究することなどとともに、
ワールドオリエンテーションという活動が中心的な位置を占めます。
19.
学び舎では、子どもの行動や成績について評価をする時には、
できるだけ、それぞれの子どもの成長の過程がどうであるかという観点から、
また、それぞれの子ども自身と話し合いをするという形で行われます。
20.
学び舎では、何かを変えたりよりよいものにしたりする、
というのは、常日頃からいつでも続けて行わなければならないことです。
そのためには、実際にやってみるということと、
それについてよく考えてみることとを、いつも交互に繰り返すという
態度を持っていなくてはなりません。
(オランダのイエナプラン教育コンセプトを『つばさ』流に改修したものです)