本日は、大問4の解説に入ります。
例年は大問3に配置されている古典。
おろろ、どうした?と感じるほどの
簡単な問題でした。
しかし、「時間配分」の問題で
よく読むことができず点数が大きく
下がってしまった単元でもあります。
本日は、そんなお話です。
大問4雑感:『戦国策』より
第一回の基礎学の古典も、少しトリッキーでした。
大根が動き出す話し(笑)
そんなはずないと思って答えを間違ってしまう生徒もいたことでしょう。
今回は漢文の書きくだし文。
特段、あえて解説が必要なところもないくらいの
難易度でした。
虎百獣を求めて之を食ふ。
「戦国策」より
狐曰く、
「子敢えて我を食らうこと無かれ。
天帝我をして百獣に長たらしむ。
今子a[我]を食らはば、是天帝の命に逆らふなり。
子我を以て信ならずと為さば、吾子の為に先行せん。
子我が後に随ひて観よ。
百獣の我を見て、敢えて走らざらんや」と。
虎以て然りと為す。
故に遂にb[之]と行く。
獣之を見て皆走る。
虎獣のc[己]を畏れて走るを知らざるなり。
以為へらく狐を畏るるなりと。
大問4-(1):訓読文の判断
傍線部「虎百獣を求めて」の訓読文として正しく返点が付けられているものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:虎 求 レ 百 獣
イ:虎 求 レ 百 レ 獣
ウ:虎 求 一 百 獣 二
エ:虎 求 二 百 獣 一
解説は不要でしょうかね。
「虎」の次に「百獣」を持ってきて、
最後に「求めて」を置くような
訓読文にすればOKです。
答えは、「エ」ですね。
大問4-(2):現代仮名遣い問題
傍線部「食らはば」を現代仮名遣いに直し、すべてひらがなで書きなさい。
これも特に解説するところがないですね。
「くらわば」
これで終了です。
大問3-(3):主語・述語・目的語の判断問題
傍線部a「我」、b「之」、c「己」が指しているものの組み合わせとして正しいものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:a 狐 b 狐 c 虎
イ:a 狐 b 虎 c 狐
ウ:a 虎 b 虎 c 狐
エ:a 虎 b 狐 c 虎
古文では、助詞助動詞が現代口語文よりも
省かれることが多くなります。
主語が省かれている場合は
格助詞の「〜が」、副助詞の「〜は」。
目的語が省かれている場合は、
格助詞の「〜を・〜に・〜へ・〜や・〜で」などです。
今子a[我]を食らはば、是天帝の命に逆らふなり。
「今、あなたが私を食べるのであれば、このことは帝の命令に逆らうことになる。」
この会話は、狐が主語のものです。
よって、この「我」=「狐」となります。
虎以て然りと為す。故に遂にb[之]と行く。
「虎は、このことからなるほどと思った。それでとうとうこの者と一緒に向かうのであった。」
この文は、虎が主語のものです。
よって、この「之」=「狐」となります。
獣之を見て皆走る。虎獣のc[己]を畏れて走るを知らざるなり。
「獣たちはこの状況(狐と虎)を見て皆んなが走り出した。虎は獣たちが自分の姿を恐れて走り出したことに気づかなかった。」
「己」がある文の主語は、「虎」です。
その「虎」が「己」=「自分」を指して使っているのですから、
「己」=「虎」となり、
答えは、「ア」となります。
昨年の問題分析の記事でも書きましたが、
省かれる主語などの他にも、
よく会話の始まりや終わりを問う問題があります。
以下をご参考になさってください。
- いはく、…
- いいけるには、…
- いふやう、…
- …して、
- …ば、
- …に、
- …と
- …とぞ
- …といふ
などの特徴があります。
会話文の判断の覚え方は、
「テント侍り候(、〜と はべり そうろう)」
です。
「侍り」「候ふ」という表現は、
基本的には会話文や手紙文でしか使われることはありません。
そして、会話文の中では敬体が多いことから文体が少し違います。
高校古典でも問われることが多いですよ。
大問4-(4):内容要約問題
傍線部「然りと為す」とあるが、「虎」が考えたこととして最も適切なものを、k指しているものを、ア〜オから一つ選び、記号で答えなさい。
ア:狐の言うことが本当ならば、自分が歩いているところを見て皆が恐れをなして逃げるだろうということ。
イ:天帝の命令が本当であれば、狐が百獣を食べることで天帝から百獣の王に認められるだろうということ。
ウ:狐の言うことが本当ならば、狐が歩いているところを見て皆が恐れをなして逃げるだろうと言うこと。
エ:天帝の命令が本当であれば、自分が狐を食べることで天帝から百獣の王に認められるであろうと言うこと。
然りと為す「なるほどと思った」
その前の狐の会話に対して虎の思ったこと。
ほとんど、現代語訳にされている内容を選べば簡単です。
答えは、「ウ」ですね。
大問5-(5)-①:知識問題
この漢文から、「虎の威を借る狐」という言葉が生まれた。次の問いに答えなさい。
①「虎の威を借る狐」の意味として最も適当なものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:自分の力をしっかりと理解して見せつけ家来を先導すること。
イ:自分の力を十分に発揮して、皆の思いを知り先頭に立つこと。
ウ:自分には力がないのに有力者の権勢をかさに着ていばること。
エ:自分に力のないことを理解して有力者と協力して頑張ること。
一般常識的な知識があれば、
知っている生徒も多かったでしょう。
もちろん、知らなくても
本文の内容から意味は類推できるはずです。
答えはもちろん、「ウ」ですね。
大問5-(5)-②:知識問題
「虎の威を借る狐」は、中国の古典に由来する言葉である。このように、歴史的な事実やたとえ話、エポソードなどを背景としている言葉を何というか。漢字四字で書きなさい。
言わずもがな、
「古事成語」
ですね。
意外や意外、
漢字が書けずに間違った生徒がちらほらと。。。
漢文は明らかに簡単過ぎる!?
読めばわかる。
本当にそのレベルの問題でした。
補足として書かれている現代語訳があることで、
小学校の文章問題と言えるほどでした。
では、明日でラストの作文の解説です。
作文が今回では一番トリッキーだったと思います。
ようやく解説記事もここまで到達しました。
国語の解説は、本当に大変ですね(汗)
ちゃん♪ちゃん♫
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校
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