本日は、大問2の随筆文の問題分析をします。
少し複雑な問題もありましたが、
全体的にはさほど難しくはありませんでした。
問い(5)のBは、今までにあまり見ないタイプの
問題形式でしたが、それほど難しくはありません。
では、どんな問題だったのでしょうか?
今日は、そんなお話です。
大問2雑感:随筆『時間はなぜ取り戻せないのか』より:橋本淳一郎
テーマも内容も、中学生には
小難しく感じるものだったかもしれませんね。
しかし、設問はどうかというと
さほど難しくはないイメージでした。
徳島の入試においても基礎学力テストにおいても、
「どういうことかを書け」
というフリースタイルの問題はほぼほぼ出題されません。
宮城県の問題などはこの問題形式が多く
非常にじゅくちょー好みではありますが(笑)
しかし、今回は指定の二語句はあるものの
内容を言い換えてその指定語句を使って書く
今までにはあまりない出題がありました。
この問題をいかにクリアするかで
点数が別れる問題となっていましたね。
大問2-(1):オノマトペを問う問題
( )にあてはまる言葉として最も適切なものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:じろじろ
イ:しげしげ
ウ:ちらちら
エ:しずしず
オノマトペとは、擬音語・擬声語・擬態語などを指す言葉です。
普段耳にするような言葉であっても、
その使い方を問われると戸惑う生徒もいることでしょう。
いかに昨今の子どもたちが
「情報をスルーするスキル」
が高いかということが分かります。
「( )と眺める」
ア:じろじろ …「遠慮なく人の顔などを見つめるさま。」
イ:しげしげ …「物をよくよく見るさま。」
ウ:ちらちら …「見え隠れしながら断続して物を見るさま」
エ:しずしず …「静かにゆっくりと見つめるさま。」
( )が含まれる3段落の6〜8行目の表現の中で、
「なるほど、〜なのだな、と( )と眺めて…」
とあります。
この表現から、感心して見入ってよく観察している
ことが分かります。
答えは、イとなりますね。
大問2-(2):抜き出し問題
傍線部①「利休の考えていた茶道具」について、筆者が気づいたことを、次のようにまとめた。[ ]に当てはまる言葉を、本文中から二十二字で探し、初めの五字を抜き出して書きなさい。
「遊牧民の男が出してきた古いティーカップやポットと千利休の茶道具は、
[ ] という点で共通している。」
まずポイントは、
「古い〇〇と茶道具の共通点」
を22字で探すという部分です。
何が設問で問われて、何を答えるべきか。
読解で最も重要なこと。
予想以上に、このことができずに読解ができない生徒は
かなりの数いるというのが実情です。
傍線部が含まれる同じ4段落、
傍線部の直後に
「〜茶道具は元来こういうものだったのでしょう。」
とあります。
「こういうもの」という指示語を見た瞬間に、
「どういうもの?」とその元々の指し示す表現を
探す習慣づけがなければ国語は伸びないでしょう。
そして、4段落の4行目に指示語の先があります。
「すぐここにある何気ないものにその価値を認める」
この初めの五文字を抜き出すだけでOKですね。
大問2-(3):抜き出し問題
傍線部②「無限の宇宙」とあるが、筆者がサハラ砂漠で見た「無限の宇宙」をたとえを用いて表現している部分はどこか。本文中から探し、初めの五文字を抜き出しなさい。
昨年同様、問題番号も同じく初めの五文字抜き出し問題です。
まずは、傍線部の内容を解釈しておきましょう。
「無限の宇宙」とあります。
そして、これを例えた表現を本文中から探すという問いですね。
「無限の」は「終わりがない」「永遠に広がる」などで言い換え可能です。
「宇宙」は、身近なものでは「太陽系」「星々」「ただっ広い空間」。
この表現から考えると、
ご丁寧にも4段落の6行目に
「まるで〜」から始まるたとえ表現の常套句が見つかります。
「まるで火星や月面から電送写真で送られてきた宇宙のような光景が広がっている。」
という一文があります。
明らかにここの部分ですね。
答えは、
「まるで火星」
の五文字となります。
めちゃくちゃ簡単でした。
大問2-(4):内容選択問題
傍線部③「時空を超えて伝わってきた瞬間。」について説明したものとして最も相応しいものを、ア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:茶室という空間で最前にもてなすという千利休の思いが、日本とアフリカとの時間差を超えて表れ出たということ。
イ:茶室という空間でなくても茶会は行えるということが、約四百年という時間を超えてその場に表れ出たということ。
ウ:茶会を一生に一度きりの瞬間と捉え、茶室でイメージする空間が千利休の主張する永遠と重なり表れたということ。
エ:茶会を一生に一度の機会と捉え、最善のもてなしをするという千利休の思いが時間と空間を超えて表れたということ。
まずは、傍線部の言い換えによる解釈から。
「時空を超えて伝わってきた瞬間。」
「時空を超えて」とは、
時と空間を超えるということです。
この言い換えができた時点で、
答えは自ずと導き出されますね。
述語の部分だけを見比べても明らかに、
答えは「エ」だとわかります。
このように、傍線部の内容と一致する内容を選ぶ問題は、
数学的な方程式と同様の考えで解くことが可能です。
傍線部を読み、立式(言い換え・変換)する。
その立式の解答によって得られたものと
選択肢の中から一致する答えを、選ぶ。
国語は、数学的に考える必要があるのです。
大問2-(5):抜き出し問題
山崎さんと安田さんは、本文を読み、美の役割について話し合った。( A )〜( C )に当てはまる言葉を書きなさい。ただし、( A )( B )は本文中からそれぞれ十四字で探し、抜き出して書きなさい。また、( C )は「共通」「人間」の二語を用いて、二十字以上二十五字以内で書きなさい。
山崎:本文にある「美的体験」を通して筆者は何を伝えたかったんだろうね。
安田:ベートーベンやバッハの音楽を紹介することによって、( A )が芸術だと伝えたかったのだね。
山崎:アフリカの少年が旅行者に花をプレゼントするエピソードは、美について、( B )ということの例として挙げていると思うよ。
安田:野に咲く花に感動する心に、国境や民族、宗教は関係ないということだね。
山崎:そうだね。つまり、美の役割とは( C )ということを、私たちに教えるということなんだろうね。
( A )に関しては、
わざわざベートーベンやバッハというワードを
用意してくれているのですから、
本文中の上記の名前の近辺にある
「〇〇が芸術だ」という内容に準じる
言葉を探せばいいだけですね。
6段落の13行目の
「全てを超えて伝わっていくもの(十四字)」
が正解となります。
( B )に関しても、
アフリカの旅行者に言及する段落を探せば
すぐに7段落だと分かります。
そして、
「旅行者に花をプレゼントすることは、美について、〇〇であることの例」
に該当する表現を十四字で探せばオッケーです。
7段落の7行目、
「美しいものは誰が見ても美しい(十四字)」
が答えとなりますね。
最後の問題に関しても、
「共通」「人間」
という二文字を与えられていることで、
まずその言葉が本文中のどこにあるのかを
見つけるのが簡単となります。
最終9、10段落に、上記の2単語が含まれた表現があります。
そして、
「美の役割とは、〇〇ということを私たちに教える」
という中に該当するように「共通」「人間」を組み込み
文章を書けばおしまいです。
解答の作りやすい問題でした。
答えは、
「美を共通の体験とすることで、人間は皆同じだと言える」
で問題ないでしょう。
大問2-(6):内容選択問題
A・Bの短歌に描かれている「私」の心情として、最も適切なものをア〜エから選び、記号で答えなさい。
A:つぎつぎに 魚裂きゆけば かなしさの 極まりて立つ 血潮のにほひ
B:一尺の 雷魚を裂きて 冷冷と 夜のくりやに 水流すなりア:ようやく戦争が終わり、安堵している気持ち。
イ:食糧難の中で家族の栄養を考える父への感謝。
ウ:久しぶりに家族のために魚を調理できる喜び。
エ:粛々と魚を裂くかなしみと切実な食への思い。
めちゃくちゃ簡単ですね。
まず、A・B共に含まれている心情を表す共通項を探さします。
なぜなら、それが問われているからです。
自分の感じたことなど、国語では1ミリたりとも問われません。
書かれていることを解釈することが全てです。
そうすると「A:かなしさの」という言葉と「B:冷冷と」という言葉が心情表現として合致します。
よって答えは明らかに、「エ」となりますね。
めちゃめちゃ簡単です。
随筆は比較的解きやすいかな!?
抜き出し問題に少し工夫は見られましたが、
それでも設問をしっかりと読み解き解釈し、
「何を問われ、何と答えるべきか」
を導き出してから本文を読むことで
楽勝で解答が導き出せるレベルでした。
明日は、通常なら古典の順番でしたが
論説文が続きましたので、その解説をしてみます。
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