本日は、理科の問題分析2回目です。
今回の分析は「地学」分野を行います。
地学単体では「普通」レベルでしたが、
かなり巧妙な引っかけもあり、
難易度に反して点数は低い気がします。
皆さんはどうだったでしょうか?
今日は、そんなお話です。
大問3【中2地学】:気象観測
「吹き流し」と乾湿計を用いた気象観測問題でした。
序盤は引っかけが目立ち、後半は原理を問う作り。
ここは点数を落とした生徒も多そうです。
では、見ていきましょう!
(1)図1のような装置を使うと、軽い紐のなびく方向で風向を知ることができる。図2は図1の装置を上から見た図である。このときの風向を16方位で答えよ。
風向は、その地点に対して
「どちらから風が吹いてくるか」
を表したものです。
驚くほどに勘違いが多いのは、
「風が吹いていく方向=風向」
と思い込んでいることです。
図2を見ると、ひもは「北東」に
流れています。
ということは、答えは「南西」ですね。
(2)風向:南東、風力:3、天気:くもりを天気図記号で表せ。
これはとてもベタな問題でした。
天気図記号を覚えていない生徒もいたかもしれませんね。
答えは、以下のようになります。
(3)図3は乾湿計と示度を拡大したものである。湿球温度計の示度は隠されている。しかし、このときの湿度は69%であることがわかっている。また、表1は湿度表で、表2は、各温度での飽和水蒸気量を示している。これについて、次の①〜③に答えよ。
これは、湿度が何であるか、
どのような原理で求められるものなのか、
意味が理解できていなければ解けなくなっている
問題でした。
① 観測の際、乾湿計を置く場所としてもっとも適切なものを次のア〜エから1つ選べ。
ア:地上0.5mくらいの風通しのよい日かげ
イ:地上0.5mくらいの風通しのよい日なた
ウ:地上1.5mくらいの風通しのよい日かげ
エ:地上1.5mくらいの風通しのよい日なた
観測の目的と理由、その条件を問う問題ですね。
乾湿計の測定においては、
正確な温度と湿度を測定するために、
外部の影響を懸念する必要があります。
日が当たり過ぎると、気温が上昇し
湿度が正確に測れません。
自然の空気を正確に測定するため、
風通しの良い場所が理想です。
低過ぎる場所では、
地面の温度の影響を受ける可能性があります。
このことから、答えは「ウ」だとわかりますね。
② このときの湿球温度計の示度はどのようになっているか。乾球温度計にならって解答欄に示せ。
問題文と図3の情報をまとめておきましょう。
湿度:69%
気温:16℃
表1の湿度表から、16℃で69%の示度の差を見ると、
「3.0」とあります。
問題は、湿球温度計の示す温度を作図せよとあります。
湿球温度計は、先端についている水を湿らせた綿が
蒸発するときの気化熱によって、
乾球温度計よりも温度が下がって示されます。
よって、気温は16℃ですから、
「13℃」を示すところに作図をすればOKですね!
③ このときの露点として、もっとも近い温度を表2にある温度から選べ。
問題文と図3、表2の情報をまとめておきましょう。
このように考えると、
表2から10℃のときの飽和水蒸気量が「9.4g/㎥」だと分かるので、
答えは、「10℃」となりますね。
原理をしっかりと理解できていなければ解けない
良問でした。
大問4【中1地学】:柱状図
柱状図の問題は、とにかく解くための絶対のルールがあります。
それが以下のような情報をまとめ方です。
このように情報をまとめずして、
柱状図の問題は解けないものと考える方が
良いかもしれませんね。
問題を見てすぐにこのように情報をまとめておくなら、
非常に簡単に問題を解くことができたでしょう。
(1)次の文は、柱状図Ⅰのa~cの地層が堆積した期間の、この地域の環境の変化について説明したものである。( ① )、( ② )にあてはまる語の組み合わせとして正しいものを次のア〜エから選べ。
柱状図Ⅰのa~cを比較すると、上の層ほど地層をつくる岩石の粒の大きさが( ① )なっている。このことから、この地域は河口からの距離がしだいに( ② )なったと考えられる。
ア:① 大きく ② 近く
イ:① 大きく ② 遠く
ウ:① 小さく ② 近く
エ:① 小さく ② 遠く
体積した岩石の粒は、大きい順から
・れき岩:2mm以上
・砂岩:2~0.06mm程度
・泥岩:0.06mm未満
ということは、砂岩の大きさだけを
しっかりと覚えていれば、
れき岩と泥岩は区別できますね。
そして、粒の大きさはそのまま
質量の大きさに比例します。
質量が大きければ、
水中でもその重さゆえに早く沈みます。
よって、れき岩は「早く沈む=浅い地点」、
泥岩は「遅く沈む=深い地点」であることが
理解できるでしょう。
よって、答えは「ア」ですね。
(2)この地域の地層からサンゴの化石が見られた。これに①、②の問いに答えよ。
① サンゴの化石から、この地域の海はどのような環境であったと考えられるか。
② サンゴの化石のように、堆積した当時の環境を知る手がかりとなる化石を何というか。
この問題は、旧来の一問一答系の問題です。
答えは、「①:暖かく浅い海」「②:示相化石」です。
一昔前は、「綺麗な暖かく浅い海」とありましたが、
化石ができるような時代の海は、
どこでも綺麗なのでなくなりました(笑)
(3)柱状図Ⅰ〜Ⅲは、それぞれ地点A、B、Dのどの地点のものと考えられるか。それぞれ記号で答えよ。
これは、冒頭で示した図を作成するためには、
設問の頭に書いてある、
「柱状図ⅣはC地点のものである。」
「北に向かって、一定の割合で低くなるように傾いている。」
という条件から導き出せます。
図を見れば、そのまま答えとなりますね。
答えは、「Ⅰ:B Ⅱ:A Ⅲ:D」となります。
(4)図1の地点Xは地点A、Cの中間地点であり、標高が75mである。地点Xにおいて、凝灰岩の層は、地表からの深さが何mから何mの位置に見られると考えられるか。
いい問題です。
とにかく引っかけがすごい!
この問題の1番のキーワードは、
「地表からの深さ」
なのです!
「標高何mから何m」
ではないのです!
もう一度冒頭の情報をまとめた図をご覧ください。
この図で分かることは、
「X地点の標高何mから何mに鍵層があるか」
です。
ここから、もうワンステップ作業をし、
「X地点の地表からの深さ」
に変換しなければならないのです。
あっぱれですね。
『つばさ』の生徒も、ここでやられました。
答えは、「20m〜25mの位置」となりますね!
地学講評:やや難!?
ぱっと見は、
一問一答系の知識偏重問題と思いきや
しっかりと付随する知識を総動員させて
解答する思考力問題が多くなっていました。
生徒たちが、「合っている!」と思って
ボコボコに間違えて返されるタイプの問題です。
全体的には、
ごく普通の問題ではありましたが
おそらく平均点的には低くなっていると予想し
「やや難」と判定しました。
みなさんはいかがでしたか?
ちゃん♪ちゃん♫
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