本日は、古文の分析を。
令和4年度第一回基礎学力テストの国語は
語句知識系の大問1と小説の大問2は
簡単目の問題でした。
さてさて、古文はどうでしょうか?
大問3:古文『宇治拾遺物語』より
ではまず端的に、非常に簡単な問題でした。
古文で満点の生徒も多かったことでしょう。
一文だけ少し捻った問題はありましたが、それでもわかりやすい問題です。
まずは、古文の内容から。
これも今は昔、田舎の児の比叡の山へ登りたりけるが、桜のめでたく咲きたりけるに、風の激しく吹きけるを見て、この児さめざめと泣きけるを見て、僧のやはら寄りて、「などかうは泣かせ給ふぞ。この花の散るを惜しう覚えさせ給ふか。桜ははかなきものにて、かく程なくうつろひ候なり。されども、さのみぞ候ふ。」と慰めければ、桜の散らんはあながちにいかがせん、苦しからず。我が父の作りたる麦の花の散りて実の入らざらん思うがわびしきと言ひて、さくりあげて、よよと泣きければ、うたてしやな。
「宇治拾遺物語」より
(1)は、古典文法問題(上記の黄色の下線部を参照)
傍線部ア〜エの「の」の中から、他と意味の違うものを一つ選び、記号で答えなさい。
基本問題中の基本問題です。
「の」が主格の「が」役割になるか、所有格のままの役割になるかの判断です。
4つめの「麦の花〜」だけは、「麦が花〜」にできませんね。
よって、答えは「エ」です。
(2)は、歴史的仮名遣いの問題。
二重線部の「惜しう」を現代仮名遣いに直して、すべて平仮名で書きなさい。
どうでもいいのですが、従来は平仮名は「ひらがな」と表記されていたように思います。
「shi-u」は「shu-u」にする必要があります。
よって答えは、「おしゅう」ですね。
あきらかに簡単です。
(3)は、これもベタな「」のない会話文探し出す問題。
古文中には会話文として「」をつけるべき部分が1か所あるが、それはどこからどこまでか。その部分を探し、初めと終わりの三字をそれぞれ抜き出して書きなさい。
古文では、会話の始まりと終わりには特徴的な表記方法があります。
- いはく、…
- いいけるには、…
- いふやう、…
- …して、
- …ば、
- …に、
- …と
- …とぞ
- …といふ
などの特徴があります。
会話文の判断の覚え方は、
「テント侍り候(、〜と はべり そうろう)」
です。
「侍り」「候ふ」という表現は、
基本的には会話文や手紙文でしか使われることはありません。
そして、会話文の中では敬体が多いことから文体が少し違います。
高校古典でも問われることが多いので、
今のうちから意識しておくといいかもしれませんね。
(4)は、傍線部の箇所の理由を答える問題。
傍線部の「などかうは泣かせ給ふぞ」とあるが、僧は子どもが泣く理由をどのように考えたのか。それが書かれている一文を探し、初めの五字を抜き出して書きなさい。
意味は「なぜそのように泣かれるのか。」です。
ということは、僧は子どもが泣いたと思った理由は
「どうだから」と考えた、という形で考えればいいわけですね。
何度も繰り返しますが、
設問から何を問われているのかを明確にし
自分がどう答える必要があるのかを考えてから
本文中から探すクセをつけましょう。
妄想で答えを自分本位に解釈してはいけません。
解答は、すぐ下にある
「この花の散るを惜しう覚えさせ給ふか。」ですから
「この花の散」ですね。
(5)は、対話文形式の内容を本文から読み取る問題。
この古文を読んだ河野さんと橋本さんは次のように意見を交換した。これを読んで、あとの問いに答えなさい。
河野: 風で桜の花が散る様子を見ても、児と僧それぞれの見方のあることが面白いよね。
橋本: うん。児は桜の花の散る様子を見て( A )のだね。
河野: そうだね。でも僧自身は、花の散る様子に( B )を感じていたので、児も同じ気持ちだろうと勘違いしたのだね。
橋本: だから、がっかりしたといっているのだね。① ( A )にあてはまる言葉を、古文を参考にして二十字以上二十五字以内で書きなさい。
② ( B )に当てはまる最もふさわしいものを、次のア〜エから選び、記号で答えなさい。
ア:活力
イ:無常
ウ:不幸
エ:感謝
①は少々難しかったかもしれませんね。
しかし、設問の中にヒントはちゃんと眠っています。
( A )の後ろの文を見ると
「でも僧自身は、花の散る様子に( B )を感じていたので、児も同じ気持ちだろうと勘違いしたのだね。」
とあります。
僧の桜の散る様子の哀愁・侘び寂びとは違う気持ちを児は
感じたことが分かります。
本文には、
「我が父の作りたる麦の花の散りて実の入らざらん思うがわびしき」
とあり、この内容を現代語にできれば正解となります。
「自分の父が作った麦の花が散ってしまって、実らないのではないかと思って悲しいのです。」
このようなことが字数内に収まっていればオッケーです。
( B )は日本人の諸行無常の価値観である、
「花の散りゆく様までもが美しい」という感覚を選択すればいいわけです。
答えは、「イ:無常」ですね。
古典も明らかに簡単!?
小説に引き続き、ベタな問題がつづきました。
明らかに簡単だったのではないでしょうか?
特に古文では満点の生徒も多かったはずです。
最後の解説となる論説文。
少しは骨のある問題であってほしいものです。
徳島の基礎学は、国語の平均点が下がると
一気に全体の平均点も下がる傾向があります。
昨年度もそうでしたね。
つづきも頑張りま〜す!
(公立高校入試よりも、大学入試の指導の方が最近は大変です。。。)
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