人は、仮に全く同じ条件であっても
「得るもの」か「失うものか」の
話の順番によって、
選びとるものが変わる
傾向があるようです!
心理学者エイモス・トベルスキーと
ダニエル・カーネマンの実験です。
あなたはある大きな自動車メーカーの
重要になったとします。
このたび経営的な問題から、3つの工場と、
6000人の従業員を失うことになりました。
次のプランのいずれかを選択するとします。
<パターン1>
プランA:3つのうち1つの工場と、2000人の従業員を“救える”。
プランB:3つすべての工場と、6000人の従業員を救える確率は3分の1だが、
でも”まったく救えない”確率は3分の2。
<パターン2>
プランA:3つのうち2つの工場と、4000人の従業員が“失われる”。
プランB:3つすべての工場と、6000人分の従業員が失われる確率は3分の2。
でも”すべてを救える”可能性は3分の1。
<結果>
パターン1では、80%の人が「プランA」を選んだ。
パターン2では、82%の人が「プランB」を選んだ。
よく読んでみると分かりますね?
パターン1と2のプランAは、
まったく同じ内容です。書き方が違うだけ。
もちろん、プランBも同様です。
しかし、
「得るもの」か「失うものか」の
話の順番によって、
選びとるものが変わるのです!
面白いですよね?
「得るものが何か?」にフォーカスが当たると
人は途端にリスクを恐れるようになり、
「失うものが何か」にフォーカスが当たると
損失を回避するためには、多少のリスクには
目を瞑るようになるのです。
こう考えると、
ギャンブル依存者の思考は、
そもそもギャンブルは「お金を失うもの」と
仮定しているのかもしれませんね?
損失を補い、その上増やすためには、
という思考が、明らか勝算のないリスクに
お金を費やしてしまうのかもしれません。
ここで、「新しいことに挑戦する」ことに
プロスペクト理論を当てはめて考えてみましょう。
新しい挑戦から得られる「利益」だけに注目してしまうと、
たとえ心の中では違うと感じていても、
その「利益」を手放すリスクを選ぶことが難しくなります。
反対に、新しい挑戦をすることによって失う
「信頼感やプライド」だけに焦点を当てると
これまでの苦労や時間を無駄にしてでも
リスクを選択できるかもしれないのです。
結局のところ、本当は失うものがあったとしても
「失うものは、何もない」という背水の陣の心境が
リスクを恐れず一歩踏み出せる状況を作るのでしょうね。
ですから、何かに挑戦してみたい時には、
まず『自分の失うものリスト』を作成してみましょう。
そして、そのリストに上がったものを常に見つめ、
「ああ、こんなもの失っても何の問題もない」という
自己暗示をかけてみるといいかもしれませんね!
決断とは、
『断つこと・もの』を『決める』と書くわけですから。